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藤岡将医師 司法試験合格

Japan In-depth / 2022年9月23日 23時22分

なぜ、福島県浜通りの勤務医が、司法試験に合格することができたのだろうか。それは、彼が「天才」だからだ。その記憶力は驚異的だ。クレジットカードや電話番号など、数回見れば覚えてしまう。「12桁までの数字は記憶に焼き付く(藤岡医師)」らしく、子どものころには、「たまたま母親のクレジットカードをみたら、番号を覚えてしまい、


その後、こっそり買い物をしたこともあります。ばれて叱られました」と言う。抜群の記憶力を有するため、試験に強い。だからこそ、東大教養学部文科2類在学中に、仮面浪人をして理科3類に合格したのだろう。


大学時代には「資格マニア」として、行政書士など、多くの資格試験を受験し、合格した。司法試験に挑むきっかけは2019年に司法書士に合格したことだ。2020年1月に新人研修を受けたが、その際に、医師としての勤務を続けながら、司法書士の簡易裁判所での代理業務資格を取ることは出来ないと知る。それなら、いっそのこと司法試験を受けようと決心したのだ。


藤岡医師は資格試験のための勉強が好きだ。法律も、法科大学院には進学せず、独学で勉強した。予備試験の合格率は4.2%だ。この難関を初挑戦で合格した。試験勉強開始から合格までに要した時間は二年半だ。なぜ、合格できたのか。藤岡医師の能力が高いことに加え、勤務する相馬中央病院が支援してくれたからだ。相馬中央病院では、食道外科医である標葉隆三郎院長が、藤岡医師を指導し、そして庇ってくれた。勤務中に別室に閉じこもって、司法試験の勉強をしていても、患者に迷惑をかけないかぎり、誰も問題視しなかった。


事務方の佐藤美希総務課長の存在も欠かせない。佐藤さんは、日常的に藤岡医師に話しかけ、彼をサポートするように努めている。そして、患者やスタッフとの軋轢が生じそうなときには、早めに介入して、大事にならないうちに解決してくれる。相馬中央病院で一番若く、東京から来た「余所者」である藤岡医師を守ってくれているのだ。


司法試験の勉強が始まってからもサポート体制は変わらなかった。佳境に入った試験勉強と病院業務が被ったときには、「佐藤さんが他の先生にお願いして、私の不在をカバーしてくれた(藤岡医師)」そうだ。このようなきめ細やかな対応は都心の大病院には期待できない。今回の合格は、彼が相馬中央病院で勤務していなければあり得なかったと言っていい。


藤岡医師のような「天才」を育てるのは難しい。「天才」によくあるように、藤岡医師は気分屋だ。興味がなければ何もしない。東大医学部在学中、藤岡医師は医学の勉強に関心がなかった。医師国家試験の模擬試験の得点は13%だ。試験は5択だから、ランダムに答えを選んでも20%は得点できるはずだ。どうやったら、こんな点数がとれるのか、常人には理解できない。流石に、これでは国試に合格しない。一年間の国試浪人を経験する。これが前述した医学部卒業と初期研修開始の間に一年のブランクが生じた理由だ。


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