人権に鈍感な日本 ウクライナ集団墓地・拷問施設、日本もモノをいえ
Japan In-depth / 2022年9月24日 23時40分
各メディアでは、イジュームからのニュースを大きく報じているが、これらについて岸田文雄首相、林外相らが、何らかの非難コメントを出したということは聞かない。
岸田首相は9月20日にニューヨークの国連総会で演説したが、ロシアの侵略を非難はしたものの、この問題には触れずじまい。アメリカのバイデン大統領が今回の問題を念頭に「ロシアによる大量虐殺、戦争犯罪の証拠は明らかだ」と各国に訴えたのとは大きな違いだった。
メディアも関心を持たないのか、外相、官房長官の会見などで質問はほとんど出ず、これをめぐる目立った論調もみられない。わずかに9月18日付の沖縄タイムズが、「真相解明のために国際法廷を機能させよ」と主張した程度だ。
旧統一教会、故安倍晋三首相の国葬の是非、急激な物価高などに関心が集中している状況を考慮しても、大国のあり方として違和感を感じる向きも少なくなかろう。
▲写真 ウクライナのPishanske墓地。447体の遺体が墓地から発掘された。(2022年9月23日、ウクライナ・イジューム) 出典:Photo by Paula Bronstein/Getty Images
■ サウジ記者殺害では型通りのコメント
人権問題で日本が遅れをとったケースは今に始まったことではない。
言論の自由と相まって世界的な非難、反発、関心を呼んだ2018年のサウジアラビアの著名ジャーナリスト、ジャマル・カショギ氏の殺害事件。
訪れたトルコ・イスタンブールのサウジアラビア総領事館が事件の舞台で、本国から派遣された〝暗殺団〟の犯行だった。
▲写真 ドイツのベルリンでカショギ氏の死の2周年にサウジアラビア大使館の外でデモを行う国境なき記者団の人々ら。(2020年10月2日、ドイツ・ベルリン) 出典:Photo by Sean Gallup/Getty Images
英独仏3国の外相は事件直後に共同声明を発表し、真相解明と責任者の処罰を強く求めた。フランスは関与していた政府高官ら18人の入国禁止などの制裁を科した。
事件当時、アメリカのトランプ政権はサウジ批判を控えていたが、バイデン政権になってから、高官17人の資産凍結などを断行した。
日本政府は事件直後に菅義偉官房長官(当時、後に首相)が、「コメントを控える。早期の真相解明、公正で透明性ある解決を望む」と述べるにとどまった。制裁発動は見送った。
事件の残虐性やムハンマド皇太子の関与がささやかれていたことなどには一切触れらておらず、素っ気ないことこのうえないコメントだった。
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