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「#本物の国葬」にも一理ある(下)国葬の現在・過去・未来 その6

Japan In-depth / 2022年9月27日 11時0分

今次のエリザベス2世女王国葬に際しては、世界中から国家元首や王族の弔問・参列があったことから、安倍元首相の国葬をめぐる騒ぎをあてこすって「#本物の国葬」がSNSでトレンド入りしたが、もうひとつ、この葬儀に費やされた費用が日本円にして14億円弱(推計800万ポンド)であったと報じられるや、安倍元首相の国葬に投じられる16億円以上と比較して「泣けてくる」などという声も聞かれた。


前にも述べたが、安倍元首相の国葬をめぐる議論の本質はコストの問題ではないが、あえてこの議論に付き合うとしても、やはり単純な比較はできない、としか答えられない。







▲写真 安倍元首相国葬に反対する人たち(2022年9月25日 東京・新宿区) 出典:Photo by Takashi Aoyama/Getty Images


もともと女王が高齢だという事情もあり、英国王室と政府は事前の準備に怠りがなかった。「ロンドン橋作戦」として日本でも報じられたが、逝去と同時に女王の秘書官から首相官邸に電話が入り、


「ロンドン橋が落ちた」


という暗号メッセージが伝えられた。これで作戦が発動されたわけだが、英国メディアによると、詳細までは(なにしろ国家機密であるから)不明ながら、内務省、外務省、軍と警察からロンドン・トランスポート(交通局)までも関与する「壮大かつ密な作戦」であったことは間違いないようだ。


なおかつ非公開のそれも含めて10回ほどもリハーサルが行われ、たとえばウェストミンスター寺院では、近衛兵が棺を担ぐ際の歩速まで計測して、分単位のスケジュールが組み上げられていた。


どのようなプロジェクトであれ、ここまで事前の準備が整っている場合と「不測の事態」に対応する場合とでは、コストに差がつくのは当然ではないか。もちろん、英国では業者の関与などまったくない、という要素は見逃すべきでないだろう、と思うが。


どうして暗号が使われたのか、という疑問を抱かれた向きもあろうが、正直なところ私にも分からない。おそらくそうした伝統があるのだろうと考える他はない。


女王の父で、今や先々代の国王となったジョージ6世の場合も、逝去の際、若き日のエリザベス王女は南アフリカに外遊中であった。この時も、国王の身に異変が生じた場合は(もともとヘビースモーカーで健康問題を抱えていた)、


「ハイドパークコーナー」


という暗号電報で急を知らせることになっていた。


ところが、随行員に情報がきちんと伝わっていなかったらしく、ホテルに届いた電報に目を通した担当者は、ロンドン市内の実在の地名であったことから、


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