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「#本物の国葬」にも一理ある(下)国葬の現在・過去・未来 その6

Japan In-depth / 2022年9月27日 11時0分

(発信者の住所かなにかだろう)


などと考え、間違い電報だと判断してしまった。結局、王女は半日後に新聞記者から事態を知らされることとなる。今次の国葬の準備に際しては、この時の経験も生かされたに違いない。


ここで前回の最後に少し触れた話題に戻るが、英国において国王以外の人が国葬に付されるには、王室と議会の同意が必要となる。


最も分かりやすい例が、サー・ウィンストン・チャーチルで、1965年1月24日に死去(享年90)した翌日、英国下院は女王からの提案を受けて、国葬の実施を可決した。なんと全会一致であったという。


そして国葬は30日に実施されている。読者諸賢はすでにお気づきであろうが、議会において満場一致で可決したなど、はじめから予定調和のセレモニーで、あらかじめ準備が進められていたからこその手際だ。


なんでも「ホープ・ノット作戦」と呼ばれたそうで、Hope not(そうならなければよいのだが)とは、なんとも皮肉だと言うべきか、いかにもチャーチルらしいと言うべきか。


政治家以外に、日本でもよく知られる名前を挙げると、万有引力の法則で知られるサー・アイザック・ニュートン、看護教育の先駆者と称される「白衣の天使」フローレンス・ナイチンゲールだろうか。ただし後者は、遺族が国葬を辞退している。


マーガレット・サッチャー元首相の場合も、生前に国葬を辞退する旨の意思表示をしており、女王も参列しての「ほとんど国葬と言える国民葬」が挙行された。2013年4月17日のことである(4月8日没。享年87)。







▲写真 サッチャー元首相は国葬を固辞(1984年) 出典:Getty Images


ここで読者諸賢に知っていただきたいのは、サッチャー元首相が国葬を辞退した理由である。


彼女が正確になんと言って辞退したのか、詳細までは報じられていないのだが、自身が首相として推し進めた一連の改革政策=世に言うサッチャリズムには賛否両論があったことから、自身が国葬に付されたならば再び「社会の分断」が起きかねず、それを避けたかったのであろうと衆目が一致している。


目下わが国において、安倍元首相の国葬を巡って起きているのは、まさにこの「社会の分断」であり、前回私が「お葬式の時くらい静かにしていろ」で済まされるほど話は単純でない、と述べたのも、話がここにつながってくるのだ。


そもそも国葬は「お葬式」ではない。


故・安倍晋三氏の葬儀は7月12日、東京の増上寺においてすでに執り行われている。近親者のみの「家族葬」の形式であったが、霊柩車が品川区の桐ヶ谷斎場に向かう沿道では、多くの市民が別れを惜しんだ。


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