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「人が核兵器に触れると破滅もたらす」 キューバ危機の教訓語ったマクナマラ国防長官

Japan In-depth / 2022年10月14日 23時0分

 





■悪夢の10月27日





 樫山:この間の最大の危機は。





マクナマラ氏:「フルシチョフ首相からの回答を待っていた10月27日、土曜日が最も危険な日だった。ほんのわずかの差で、危うく核の破局に直面するところだった。大統領は朝からわれわれと会議を開いていた。フルシチョフがなかなかミサイル撤去に応じようとしなかったため、統合参謀本部は36時間以内に攻撃することを進言した」





「この時点でわれわれは、キューバにミサイルは持ち込まれてはいるが、核弾頭は配備されていないと判断し、攻撃するなら核配備の前だと考えていた」





「多くの人が攻撃論に同意したが、実はその時すでに162基の弾頭が搬入され、70基が米国向けに配備されていたのだ。実際に使われていたら米国の東海岸の900万人の命が危険にさらされていただろう。私はその事実を30年近くも知らずにいた。1992年2月にハバナを訪問したときに、キューバ側からその話を聞いた。本当に危険なことだった」









■ソ連、米国の攻撃が近いと考え譲歩





樫山:フルシチョフ首相がその翌日の28日、突然ミサイル撤去に応じたのはなぜか。





マクナマラ氏:「われわれの攻撃が切迫していると考えたからだ。フルシチョフはそうなれば核戦争に発展すると考え、これを極度に恐れていた」





「撤去を伝えるメッセージを米国に送ったとき、数時間以内に攻撃が始まると思い込んでいた彼は、モスクワからの送信、暗号解読の時間などを計算すると間に合わないかもしれないと思いラジオでもメッセージの内容を伝えたのだ」





樫山:ミサイル撤去表明を聞いてどう思ったか。





マクナマラ氏:「とてつもない危機が去ってくれたと本当にうれしかった。実際は、そのときまだ核弾頭がキューバに残っており、危険な状態であったのだが、その時点では知る由もなく、とにかく喜んだ」





樫山:フルシチョフ首相はなぜ、ミサイルをキューバに持ち込んだのか。





マクナマラ氏:「ひとつの理由は、核戦略で米国に対する立場を強めようとしたのだと思う。しかし、キューバに核ミサイルを配備したとしても、米ソの核バランスを変えることはできなかったろう」





「もうひとつの理由は、米国が先にキューバに通常ミサイルを撃ち込み、カストロ政権を転覆させると考えたのだろう。たしかに、ピッグス湾進攻などはあったが、大統領も私も軍事力行使など考えたことはなかった」









■核兵器は世界を破壊する





樫山:危機の日々にあって戦争は避けられないと考えたことはあったか。





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