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円楽死すとも落語は死せず(下)娯楽と不謹慎の線引きについて その2

Japan In-depth / 2022年10月20日 18時0分

円楽死すとも落語は死せず(下)娯楽と不謹慎の線引きについて その2




林信吾(作家・ジャーナリスト)





林信吾の「西方見聞録」





【まとめ】





・六代目三遊亭円楽師匠は、落語協会、落語芸術協会、五代目円楽一門会、立川流の4団体全てにおいて活動歴のあった唯一の噺家。





・円楽師匠の後任選びは難航、未だ正式発表はなく、幾人かの名前が取り沙汰されている。





・日本独特の話芸である落語を一致団結して盛り上げたいと訴え続けた円楽師匠。落語会は未だ男社会だが、そろそろ男女の壁も取り払ってもよいのではあるまいか。





 




9月30日に他界された六代目三遊亭円楽師匠について、なんとか病魔から回復し、「圓生を継いでもらいたかった」と述べた。当人も最期まで意欲を見せていたということなので、無念もひとしおである。


三遊亭という亭号については前回述べた通りだが、同じ亭号の中で最高峰の名跡とされるものがあり、これを「止め名(とめな)」と呼ぶ。その名前を襲名したら、隠居名を別として、もはや名前を変えることはないという意味だ。


実は相撲界や歌舞伎界にも「止め名」が存在するのだが、こちらは野球の「永久欠番」のようなもので、先達が偉大すぎたので誰も継がないというものだ(明文規定はないらしい)。


相撲界については、もうひとつ面白い話があって、現役時代の実績がずば抜けていたため、一代年寄りになった力士の四股名(大鵬、北の湖、貴乃花など)が止め名とされている他、不祥事が原因で現役や年寄りを退いた力士の四股名も受け継がれないことになっている。朝青龍、双羽黒、日馬富士、琴光喜などがこれに当たると述べれば、相撲ファンなら、なるほどと頷かれることだろう。


話を戻して、落語で止め名を襲名した者は、三遊亭なら三遊亭の最高指導者として傘下の噺家を統率する立場となる。


他の亭号について見ると、まず林家では正蔵が止め名で、先々代の孫であり「昭和の爆笑王」林家三平師匠の長男が、2005年に襲名した。


上方落語に目を転じると、桂一門では「文枝」が止め名とされている。かつて桂三枝の名で大人気を博していた人が、2011年に襲名している。


ここで、前回の最後のくだりを思い出していただきたい。三遊亭小遊三師匠が、「円楽さん、落語会の壁を取り払ってくれてありがとう」と述べた。具体的に、どういうことか。


亭号とは別に、東京の落語界は4つの組織に分かれている、ということも前回述べた。


まずは簡単に復習すると、落語協会、落語芸術協会、五代目円楽一門会、そして立川流である。


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