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「さっぱり分からない」為替レート 変動する為替レートの重荷を背負ってきた日本経済

Japan In-depth / 2022年10月26日 12時8分

金利平価とは、要するに金利の高い通貨の方が切り上がる、米国について言えばドル高になるということだ。米国では今年に入り急速に金利が上昇した。日本では2%のインフレ目標が好ましいかたちで実現できていないことを理由に、金利の上昇は極めて限定的だ。したがってこの観点からのドル高、逆に言えば円安の力が非常に強く作用しており、それでこのところ急速に円安になっていると考えることができる。


なんだ説明できるではないかということだが、実はこの為替レートが持つ2つの顔のどちらが強くでるかという塩梅は全く一定でなく、したがって為替レートを正確に予想することができないのである。


9月の消費者物価前年比は米国+8.2%、日本+3.0%。まだまだ米国の方が高い。10年もの国債の流通利回りは米国4%強、日本0.25%程度。この長期金利でみた3%ポイントの差が、現在の為替レートに強く作用している。さらに話が難しくなるのは、為替レートに影響するのは、単純に現在のインフレ率や金利の差だけではないところだ。それらが将来どうなるかという見通しも非常に重要で、それがその時々に思惑で大きく変わる。だからこそ、為替レートも時に大きく変動する。


もちろん、上述の為替レートの2つの顔のどちらが強く出ているかだけではなく、例えば為替介入といった政府によるアクションでも一時的に為替レートは動く。さらには紛争の勃発、政治的混乱ということも短期的に為替レートに強い影響を与える。こうした様々な要因が入り混じるため、為替レートの変動を随時ちゃんと説明しようとすると、正直に言えば、後付けはできても事前にはさっぱり分からないということになる。


為替レートについて日々様々なコメントを耳にする。それらを良く注意して聞いていれば、同じ人でも理屈をうまく取り替えながら、いつも正しいことを言っているような印象を与えようとしていることがみえてくる。しかしそれは、以上のような為替レートの複雑な性格からして仕方のないことなのである。


■ 実体経済活動と金融取引


さて、日本では長らく円高は日本経済の成長にマイナスと言われてきた。外貨建ての輸出価格が動かないとすれば、円高になれば円建ての手取りが減り、成長を牽引する輸出企業の売り上げが落ちるからだ。もっとも、上述の購買力平価の観点からすれば、現地のインフレ分、外貨建て価格を引き上げることができるなら、結果的に手取りの円建て金額は変わらず、輸出企業の円建ての売り上げも落ちない。


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