陰謀説の危険 その9 雑誌「マルコポーロ」の記事がなぜ反ユダヤとされたのか
Japan In-depth / 2022年10月27日 11時0分
−−ウィーゼンタール・センターが日本の言論を抑圧したという批判も一部にあるが。
「記事の内容は常軌を逸しているが、そうした主張を個人が述べることは自由だ。問題は記事の冒頭に編集部の記述として、そのデマを事実のように扱う見解が書かれている点だ。私たちはマルコポーロ編集部が『ナチのガス室はなかった』という見解を取ったとみて、同誌への広告提供社にその旨を知らせた。マルコポーロには直接、こちらからなんの接触もしなかった。わがセンターには言論弾圧の意図はない」
−−問題の記事自体はどうみるか。
「ナチの使用した毒ガスやガス室の詳細な実態については山のような証拠が保存されている。われわれのセンターが九四年に発行した『ホロコースト否定』という文書にも記したが、ガス室の建設書類、必要物資補給書類、工事の詳細、検査報告、工事請負企業名からガス室でユダヤ人を実際に殺したナチの収容所司令官の法廷供述まで現存する」
−−ユダヤ人のほとんどいない日本で、なぜこうした記事が出ると思うか。
「個人の動機までは分からないが、全体として体系的な反ユダヤ主義というより、国際的な知識の欠如とか犠牲者への思いやりの欠如、さらにはセンセーショナリズムのせいだと思う。だが動機はともかく、この虐殺否定のこの種の記事は結果的にナチのユダヤ民族絶滅計画の正当化と支持に等しく、その犠牲者や生存者、遺族らへの侮辱だ。ただ今回の件はもうすんだとみなし、今後は日本の人との相互の交流、理解を深めたい」
以上がクーパー氏の言葉だった。日本側のユダヤに関する言説への当事者としてのユダヤの反応が明確にわかる言葉だといえよう。
(つづく)
トップ写真:反ユダヤ主義糾弾機関「サイモン・ウィーゼンタール・センター」の現センター長による講演の様子
出典:Photo by Michael Kovac/WireImage
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