北朝鮮の核ミサイル開発財源は暗号資産窃取
Japan In-depth / 2022年11月24日 19時0分
朴斗鎮(コリア国際研究所所長)
【まとめ】
・大量のミサイル発射の財源調達は北朝鮮サイバー部隊による暗号通貨へのハッキングと韓国従北朝鮮勢力による支援が主。
・法律や制度、人材不足によって韓国の仮想通貨取引所が対北朝鮮制裁を回避するマネーロンダリングの温床となっている。
・米FBI長官は北朝鮮のサイバー犯罪捜査を世界規模で行うと強調。
11月18日午前10時15分ごろ、北朝鮮は平壌順安(ピョンヤン・スナン)一帯から火星17と見られる長距離弾道ミサイル(ICBM) 1発を発射した。飛行距離は約1000キロメートル、高度は約6000キロメートル、速度は約マッハ22であることが探知された。北海道西南側の無人島、渡島大島西側約200キロ付近の排他的経済水域(EEZ)内に落下(着弾)した。
北朝鮮の各種ミサイル・ロケット砲発射は、9月25日から11月18日までに60発以上にのぼり、今年発射したミサイルの約6割を占めた。この間のミサイル発射は、明らかにこれまでの発射とは異なる様相を呈しているが、これは今年に入って策定された北朝鮮の軍事戦略先鋭化が関係している。
またこの例のない大量のミサイル発射の財源調達についても米韓の捜査当局によって解明されつつある。北朝鮮サイバー部隊による暗号通貨へのハッキングと韓国従北朝鮮勢力による支援が主要財源だという。ハッキングで北朝鮮が全世界から盗んで洗浄した疑いのあるドル資金は150億ドル以上と推定されている。
〇北朝鮮、暗号資産窃取で核ミサイル資金30%を充当
アン・ニューバーガー米国家安全保障担当副補佐官(サイバー・先端技術担当)は11月17日(現地時間)、「北朝鮮がミサイルなど悪意のあるプログラム(開発)資金の約30%をサイバー攻撃で充当していると見ている」とし、「これに対応して我々は同盟国と情報協力を強化し、暗号資産インフラを活用した違法な資金の移動を困難にするよう力を入れている」と強調した。
これに先立ち、ブロックチェーンデータの分析サービスを手がける米チェイナリシスは8月に報告書で、ラザルスなど北朝鮮のハッカー集団が今年だけで10億ドル規模の暗号資産を窃取したと分析した。米連邦捜査局(FBI)も、ラザルスが今年3月にブロックチェーンのNFTゲーム「アクシー・インフィニティ」をハッキングし、当時の価格で5億4千万ドルの暗号資産を窃取したと明らかにした。
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