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本気で世界一を目指すために 熱くなりきれないワールドカップ 最終回

Japan In-depth / 2022年12月1日 11時19分

本気で世界一を目指すために 熱くなりきれないワールドカップ 最終回




林信吾(作家・ジャーナリスト)





林信吾の「西方見聞録」





【まとめ】





・JFAが掲げている目標「2050年までにワールドカップを単独開催し、日本代表が優勝する」。





・開催は可能だが、今のような事を続けていては、優勝できるとは思えない。





・森保監督は監督の座を辞するべき。優勝候補と称される代表を本気で育てよう、という長期戦略に基づいて選任された監督ではないからだ。





 





「2050年までにワールドカップを単独開催し、日本代表が優勝する」





これはJFA(日本サッカー協会。以下、協会)が掲げている目標である。





現時点での私の評価は、こうだ。





「開催は可能だが、今のような事を続けていては、優勝できるとは思えない」





まず、協会が「単独開催」とわざわざ強調しているのは、2002年大会が日韓共催という、史上初の形式で開催されたことが関係している。





もともと、時のFIFA(国際サッカー連盟)会長であったジョアン・アベランジェは、アジアで図抜けた経済力を持つ日本でワールドカップを開催し、新たなマーケットを開拓しようという構想を打ち出していた。





彼はブラジル出身の実業家で、サッカーに関して言うと、実は選手・審判・指導者いずれの経験もない。若い頃は水泳の選手で、1936年のベルリン五輪に出場した経験もある(1916年生-2016年没)。





弁護士資格を持ち、保険会社やバス会社などを経営するというマルチ人間だった。





FIFAは、1904年に旗揚げされ、当初はパリの裏通りにある古びた雑居ビルに事務所を構え、ボランティアによって運営されていた。





しかし、1980年の第一回ワールドカップ(ウルグアイ大会)が興行的に大成功した結果、スイスのチューリッヒにあった一軒家を買い取り、本部を移転。さらには専従の事務職員を雇えるまでになった。





その後も発展を続けていたのだが、アベランジェが会長に就任して以降TVマネーやコカコーラ・マネーを呼び込み、ついにはレマン湖を一望できる高台に、高級リゾートホテルと見まがうばかりの豪華な本部ビル=FIFAハウスを構えるまでになったのである。





コカコーラ・マネーというのは、たとえば世に言うFIFAランキング(日本は最新のランキングで28位)や、20歳以下のワールドユース(2007年からFIFA U-20ワールドカップと改称)はコカコーラ社をスポンサーとして立ち上げられたものだ。





こうした経緯も、サッカーそのものの歴史についても、私は『ロングパス』(新潮社)という1冊にまとめているので、できればご参照いただきたいが、要はアベランジェにとって日本でのワールドカップ開催は「新たなビジネスチャンス」に過ぎなかったのである。





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