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ホークアイにVAR…新テクノロジーが世界サッカーの勢力図を変えるのか 日本代表躍進とともに考える

Japan In-depth / 2022年12月5日 18時0分

今大会のアジア勢、アフリカ勢の躍進については「欧州リーグのシーズン中開催のため、欧州勢がコンディショニングに苦しんでいる」という論調も見られるが、日本代表を眺めてもわかる通り、欧州でプレーする選手がいない国のほうがはるかに少ない。これは欧州勢の言い訳に過ぎないだろう。


実際、この厳格なオフサイド判定は2つの大金星に貢献している。サウジアラビアがリオネル・メッシ擁するアルゼンチンに勝利した際、メッシのゴール1本、ラウタロ・マルティネスの2本が幻と消え、サウジが2―1でものにした。また、日本がドイツに逆転勝ちを収めた初戦、前半アディショナルタイムに生まれたカイ・ハフェルツのゴールもオフサイド判定され取り消された。このオフサイドがなければ、日本の逆転劇も生まれなかっただろう。


半自動オフサイド判定については、ラインよりも「手が出ていただけ、足の先が出ていただけで厳しすぎる。いずれルールが変更される」と意見するファンも散見される。しかし、そうした線引きは現在のように厳格でなければ適応が難しい。手のどの部分まで出ていたらオフサイドになるのか、つま先ではなく足のどの部位まで出ていたらオフサイドにするのか……これを変更するには、また膨大な実証実験が必要であり、その線引き変更に意味を見いだせるとは考えにくい。


これまでのように世紀の誤審で一喜一憂させられるよりも、厳密な公平性を持ってプレーできる点は、プレーヤーとしても本望だろう。それはテニス界ですでに実証されている。


野球界でもMLBのマイナーリーグでは、すでにAIによるストライク・ボール判定の実証実験が進められている。これが成功を収めれば、いずれMLBも導入に踏み切り、さらには日本のプロ野球にも導入の波がやって来るだろう。実際、神宮球場は選手の強化という視点で、このホークアイも導入済みだ。


今大会は波乱の連続だったと言われている。しかし実は、これまでどうしても強豪国に寄りがちだった審判のジャッジに公平性をもたらし、弱小国が不利に晒されるさせられる偏見を拭い去り、サッカーそのものに変革をもたらしているのではないだろうか。その結果、モロッコがダークホースとして決勝トーナメントへ駒を進め、日本、韓国、オーストラリアとアジア枠から3カ国がベスト16へと進んだ要因のひとつではあるまいか。


新技術が広く適応範囲を広げれば、当たってもいないにもかかわらず、大げさなジェスチャーで痛がりころげまわる演技でファールをもらうばかばかしいプレーが姿を消すかもしれない。常に「アカデミー賞もの」とまで称賛される、これも強豪国のお家芸ではあるが…。


むしろ、そうした興ざめするあざといプレーが減ることで、サッカーは新たなファンを開拓するかもしれない。


トップ写真:FIFAワールドカップにて、日本の田中碧選手がスペイン相手に2点目を決める (2022年12月1日 カタール・ドーハ)


出典:Photo by Elsa/Getty Images


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