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金正恩、人民生活向上でまたも空手形

Japan In-depth / 2022年12月6日 15時18分

金正恩、人民生活向上でまたも空手形




朴斗鎮(コリア国際研究所所長)





【まとめ】





・金正恩氏が昨年末に言及した食糧難解決は空手形となった。





・人民愛を叫んで着工した病院建設はいつの間にかプロパガンダから消滅した。





・農場幹部らは処罰を逃れるために虚偽申告の準備を進めていたが、当局はホラ防止法で処分した。





 




昨年末、北朝鮮の金正恩総書記は党第8期第4回中央委員会総会で、2022年の基本課題を「5カ年計画遂行の確固たる保証を構築し、国家の発展と人民生活ではっきりとした改変を成し遂げ、祖国の歴史に栄光に輝く一ページを記すことである」と語り、各分野の課題を数字抜きで提示した。


そして、特には食衣住問題の解決で画期的な前進を遂げなければならないとして、2022年の中心課題は「コロナ防疫」と「食糧難解決」のための農業に力を集中することだと力説した。金総書記はこの総会の報告で農業と農村という言葉を143回も言及した。


反社会主義、非社会主義との闘争や軍事力強化についても強調したが、2022年の主要目標はあくまで経済、特には農業と食糧問題の解決だと位置づけていたのである。


金正恩、2022年も食糧問題解決で空手形


しかし金正恩の農業と食糧問題解決の公約は空手形だった。農繁期を前にした干ばつと豪雨、特には4月末からの新型コロナ感染者の急拡大は、農業に甚大な打撃を与えたが、これらの対策には資金投入を行わず、食料生産がまたもや目標を下回わり国民生活の疲弊は加速した。


韓国デイリーNKが定期的に行っている北朝鮮市場物価調査によると、11月27日基準で平壌の米価格は1kg6000ウォンと調査された。 新義州(シニジュ)と恵山(ヘサン)でも米価格が6000ウォン台を超えた。不足分を輸入で埋めようとしたために為替レートも上昇している。


11月末の市場米価格が1kg6000ウォンを超えたのは、2012年以降10年ぶりとなる。 2012年11月には、水害や国際食糧支援の減少などで、前年1kg1000~2000ウォン台だった米価格が6000ウォン台まで急騰したことがあるが、今回の価格上昇はそれ以来のことである。


金正恩は大規模な温室農場と平壌で進めた住宅建設を大々的に宣伝することで、なんとか「人民愛」を示そうとしたが、それは大部分の住民の思いからはかけ離れたものだった。金正恩が「人民愛」を叫んで着工した「平壌総合病院」建設に至っては、コロナウイルスが蔓延する中ですら言及されず、いつの間にか北朝鮮のプロパガンダから消えていた。


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