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少しもクールではない「冷笑系」(下) 歳末は「火の用心」その2

Japan In-depth / 2022年12月9日 18時0分

彼はまた、YouTubeにおいて、


「沖縄の人って、文法通りにしゃべれない」


 などと発言し、火に油を注ぐようことまでしているが、ここまで来ると、一種の炎上商法ではないかと疑われる(もちろん私の……いちいち面倒だから、これまで)。


 当然ながら多くの人が抗議の声を上げたが、中には、彼が金融庁の動画に登場していることをことから「沖縄差別に加担するな」と主張する人もいて、抗議の電話やメールもあったようだ。


 煎じ詰めて言えば「貯蓄より投資」をアピールする動画だが、もともと彼を起用する事に対しては、金融庁の内部からも危惧や反対の声があったと聞く。


 と言うのは、彼は前述のように「2ちゃんねる」の管理人で、殺害予告や差別発言をめぐって複数の被害者から訴訟を起こされ、裁判所から賠償を命じられたものの、支払いを拒否したからである。


 ただ、この件に関しては、彼に三分以上の理があると、私は考える。


くだんの判決はプロバイダーの「責任制限法」が発効する以前のもので、言い換えれば、今ならば(問題のある書き込みに気づいた時点で削除すれば)訴えられることもないのだ。


 過去の法律には従わなくてよいのか、と言われるかも知れないが、訴えた側が本気で賠償金を取りたかったのであれば、彼の資産を調べて差し押さえを求めることもできる。これは今でも法律で認められているのだが、そうした事例はないようだ。


 いずれにせよ、


「物価高に苦しむ貧乏人など、知ったことではない。資産を築いた人にさらなる投資を促して、メガバンクや大企業の利益を拡大したい」


 というのが金融庁、ひいては現政権の本音なのだろう。賠償金を踏み倒してフランスでのうのうと暮らしている「論破王」以上に、広告塔にふさわしい人間がいるだろうか。


 ……ここまで書いたところで、辺野古基地の工事認可をめぐる訴訟で、最高裁が県側の上告を退け、県側の敗訴確定となった、というニュースが飛び込んできた。


 詳細は、紙数の関係で割愛させていただかざるを得ないが、かいつまんで述べると、埋め立て予定海域で軟弱地盤が見つかった事を理由に、県側が工事認可の取り消しを求めたのだが、裁判所は、


「国や地方自治体は自らの権利の保護・救済を求めて訴訟を起こすことはできるが、今回の裁決取り消しの求めはそれに当たらない」


 として、門前払いしてしまったのである。


 訴訟の基礎的な論点について判断するのではなく、原告たる資格を満たしているかどうかという「言葉の定義」にこだわったと言われても仕方あるまい。


 金融行政や司法にまで「ひろゆキッズ」が増殖しているのでは、本当に笑い事ではない。


(上はこちら)


トップ写真:侍ジャパンの一員である村上宗隆。2021年8月4日。横浜・日本


出典:Photo by Koji Watanabe/Getty Images


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