結局は甘やかす大人が悪い(上)歳末は「火の用心」その3
Japan In-depth / 2022年12月13日 19時0分
林信吾(作家・ジャーナリスト)
林信吾の「西方見聞録」
【まとめ】
・杉田水脈総務大臣政務官が、物議を醸した自身の過去の投稿について、「形の上で」取り消し・謝罪を表明した。
・保守あるいは右派と呼ばれる言論人、それを取り巻くネット言論の中に差別主義が存在することこそ、本当の問題である。
・結局は「甘やかす大人(権力や強い影響力を持つ人たち)が悪い」。
なにを今更、と思われた向きも多いのではないか。
12月2日、衆議院予算委員会において、杉田水脈(すぎた・みお)総務大臣政務官が、自身の過去の投稿について、取り消し・謝罪を表明した。過去の発言全てではなく、ひとつは4年前『新潮45』誌に、LGBT=性的マイノリティの問題について寄稿した際、
「(LGBTは)子供を作らないので生産性がない」
という表現を用いたこと。いまひとつは、2016年に女性差別撤廃を目指すとした国連の会議に参加した際、自身のブログに、
「チマチョゴリやアイヌの民族衣装のコスプレおばさんまで登場。同じ空気を吸っているだけでも気分が悪くなる」
などと投稿したこと。現在ブログは削除されている。
当人の公式サイトに、和服姿の写真がアップされていて、日本の名誉と尊厳を守るため、美しい伝統と文化を守るため云々、という一文が添えられているが、まったく悪い冗談としか受け止められなかった。こういうことをネット社会では「ブーメラン」と言う。
取り消して取材したと述べたが、当人の口から出た言葉は、そもそも「大臣(=松本剛明総務相)からの指示」で謝罪する、というもので、謝罪の対象は「私のつたない表現のせいで傷ついた人たち」といったもの。差別発言ではないのか、との追求に対しては、
「差別はあってはならないこと」「差別発言はしておりません」
などと強弁する態度は崩さなかった。語るに落ちたとはこのことで、上記のような投稿が差別発言でないのだとしたら、この世でなにが差別発言なのだろうか。大臣に言われたから仕方なく形の上で謝罪しただけです、と自己暴露したに等しい。
問題は、そのような彼女を擁護する声が結構聞かれることで、一例を挙げれば、2020年に性被害にからんでの発言の中で、
「女性はいくらでも嘘をつける」
と語ったことが問題視された。ある女性ジャーナリストが、
「自分は嘘つきだ、と言っているのでしょうか」
と切り返していたが、色々読んでみると、少々ニュアンスの違う問題であったらしい。もともとは、いわゆる慰安婦問題についての発言の中で、
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