結局は甘やかす大人が悪い(上)歳末は「火の用心」その3
Japan In-depth / 2022年12月13日 19時0分
当人が認めていることだが、落選中の言論活動(たとえば前述の国連の会議に関わる発言!)を、当時の安倍首相や、保守派のジャーナリストである櫻井よしこさんが高く評価し、とりわけ安倍元首相は、公認を強く主張したという。
その後2018年に、これも前述の『新潮45』の騒動が起きたわけだが、この時も安倍首相は、TVの報道番組に出演して、彼女のことを
「まだ若いですから」
と擁護した。当時、彼女は51歳であったのだが、これはおそらく、
「老害だらけのわが自民党にあっては」
という前提がつく話だったのだろう笑。
いや、これはあながち笑い事では済まされない。安倍政権や、熱烈な支持者であった保守あるいは右派と呼ばれる言論人、さらにそれを取り巻くネット言論の中に、コリアンや性的マイノリティの人権など一顧だにしない「差別主義の水脈」が存在することこそ、本当の問題なのだ。
ここで、現在のネット社会では、過激な発言と当人のパーソナリティーがしばしば一致しない、という話を思い返していただきたい。
これは畢竟ネットの匿名性によるものだと考えられてきたのだが、彼女の場合、公人でありながら実名でこうした発言を繰り返してきた。これがすなわち彼女の「人気」の厳選なのであろう。「言いにくいことをはっきり言う」人は、しばしば賞賛されるものだ。たとえその内容が市民社会の良識に照らして到底許されないものであったとしても、彼らの論理はまた別のところにある。
本稿のタイトルが「甘やかす大人が悪い」とした理由も、これでお分かりいただけるのではないだろうか。ここで言う「大人」とは権力や強い影響力を持つ人たち、といったほどの意味なのである。そして今や、安倍元首相のお気に入りであったからこそ、彼女が大臣政務官という要職につき、未だ更迭されないのだということは、誰の目にも明らかではないか。
もうひとつ看過できないのは、今のネット社会では「悪名は無名に勝る」という考え方が、筆的にではなくそのまま通用している、ということだ。
次回、この問題をもう少し考えたい。
(つづく。その1,その2)
トップ写真:東京レインボープライド2022で行進する人々(2022 年 4 月 24 日 日本 東京)
出典:山崎雄一/Getty Images
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