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インドのタタ・グループの積極事業展開

Japan In-depth / 2022年12月14日 19時0分

インドのタタ・グループの積極事業展開


中村悦二(フリージャーナリスト)





 


【まとめ】


・タタ・グループが、電気自動車(EV)・EV電池、半導体など電子部品、次世代モバイル・システム(5G)などの新規分野への進出意欲を示している。


・タタ・グループの2022年度の売上高は1,280億ドル、上場企業29社の時価総額は3,110億ドルに上る。従業員総数は93万5000人。


・チャンドラセカラン会長が今後、どのような成長策を打ってくるか、見ものである。


インドのタタ・グループが、タタ自動車の業容改革に必要となる電気自動車(EV)・EV電池、半導体など電子部品、次世代モバイル・システム(5G)といった新規分野への進出意欲を示している。半導体では、タタ・エレクシーが2022年3月に日本のルネサスエレクトロニクスと自動車、モノのインターネット(IoT)、5Gシステム向け半導体ソリューションの開発において協業することで合意している。ルネサスとは、タタ・コンサルタンシー・サービセズ(TCS)がシステムソリューション共同開発センターを設立する。


同グループの持ち株会社であるタタ・サンズのN・チャンドラセカラン会長は、2021年8月のIMC(インド商工会議所)の年次総会の際に、半導体製造に乗り出すことを表明した。世界の半導体生産の半分程度を担う台湾積体電路製造(TSMC)への過度な依存やコロナ禍を踏まえた半導体のインド生産は同国だけでなく、米欧日などの台湾のTSMCへの依存度の高さ、中国の台頭といった地政学上のリスクに対する面からも重要との見方を示した。


タタ・グループの2022年度(2021年4月-2022年3月)の売上高は1,280億ドル(9.6兆ルピー)、上場企業29社の時価総額は3,110億ドルに上る。従業員総数は93万5000人。


タタ・サンズの株式の66%は社会貢献財団の集まりであるタタ財団が保有する。従って、タタ一族の名は、他の財閥一族のように富豪番付に登場しない。それには訳がある。インドにあって、タタ財閥は異色の存在なのだ。


タタ・サンズの創業は1868年。創業者のジャムシェドジー・タタはそれ以前、父親と友人が経営する貿易会社に入り、香港に駐在。インドから綿花とアヘンを中国に持ち込み、中国から茶、香料などを輸出する貿易に従事した。彼の出自は、イスラム勢力が侵入したササン朝ペルシャを逃れ、10世紀(8世紀との説もある)にインド亜大陸の西海岸に面するグジャラート州に居住することを時の藩王に許可されたパールシー(ゾロアスター教徒=拝火教徒)だ。


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