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結局は甘やかす大人が悪い(下) 歳末は「火の用心」その4

Japan In-depth / 2022年12月16日 12時41分

結局は甘やかす大人が悪い(下) 歳末は「火の用心」その4


林信吾(作家・ジャーナリスト)


林信吾の「西方見聞録」





 


【まとめ】


・キックボクサーの「ぱんちゃん璃奈」こと岡本璃奈容疑者が5日、兵庫県警に詐欺罪で逮捕され、検察が勾留を認めた。


・今や「煽り」の責任も問われる時代となりつつある。


・差別的もしくは誰かを誹謗中傷するような投稿に、うかつに賛意を表すとリスクを負う。


 


 キックボクサーの「ぱんちゃん璃奈」こと岡本璃奈容疑者が5日、兵庫県警に逮捕された。


 報道によれば、いずれも人気格闘家である那須川天心と武尊(たける)のポスターに、自分でサインを書き込んだ物を「直筆サイン入り」と偽ってネットオークションで販売した、というもの。つまりは詐欺罪だ。被害金額は9万9000円と報じられている。


 


 格闘技界は大きな衝撃を受け、幾人もの関係者がコメントしているが、10万円ほどでキャリアを棒に振るとは……と呆れる声が多かった。


 私も同様の思いだったが、この原稿を書いている13日の時点でも未だ釈放されないということは、検察が勾留を認めているわけで、被害金額の割に扱いが厳しい。まず間違いなく余罪を厳しく追及されているのだろう。誤解のないように強調しておくが、警察の扱いを批判しているのではない。彼女は初犯で、しかも詐欺事件としては被害金額が少ない方だから、普通なら返金と謝罪、あとは書類送検くらいで済んだはず、という一般論である。


 もともと彼女はアイドルばりのルックス(実際AKBのオーディションを受けて最終選考まで残ったことがあるそうだ)に加えて、デビュー以来13戦無敗・2階級制覇という実績があり、YouTuberとしても人気を博していた。本誌の読者だけにそっとお教えすると、私も結構よく見た方だ。


 ただ、4月に練習中のアクシデントで右膝の十字靱帯裂傷という重傷を負ってしまい、当面キックボクサーとしての活動は断念せざるを得ず、所属ジムも退会。収入が激減した、ということらしい。


 だからと言って犯罪に手を染めてよいということには無論ならないが、複数の格闘家が、「前々から危ない人だと思っていた」「素でやばい奴」などというコメントをしていたことには、いささか首をかしげた。いくら私でも、被害者がいる案件では「美人はなにをしても許されるのだ」と返すわけにも行かないし、まあ世間とはそんなもの、と言ってしまえばそれまでなのだが。それでもなお首をかしげざるを得なかったのは、「体張って前科作ってBreaking Downに参戦かな」などというコメントであった。


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