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CM史とCM炎上史(中)歳末は「火の用心」その6 

Japan In-depth / 2022年12月21日 23時0分

CM史とCM炎上史(中)歳末は「火の用心」その6 


林信吾(作家・ジャーナリスト)


林信吾の「西方見聞録」





 


【まとめ】


・1969年に人気を博したCM「オー モーレツ」で「モーレツ」というフレーズが流行した。


・さらに70年代、「男は黙ってサッポロビール」というフレーズが話題となった。


・今ならセクハラ・パワハラ認定されそうなCMも結構あったように思う。


 


昭和の当時に見た「インド人もびっくり」というCMを、長く記憶にとどめることになったと、前回述べた。


 もうひとつ、昭和の時代を生きた子供が大いなるインパクトを受けたのが、1969年に人気を博した、


「オー モーレツ」


 である。丸善石油のCMで、つまりはガソリンの宣伝だが、モデルの小川ローザが白いミニ丈のワンピースに、なぜかゴーグル付のヘルメットという出で立ちで、車から降りてくる。次の瞬間、猛スピードで別の車が通り過ぎ、スカートがまくれ上がるというもの。


 なにしろ商品がガソリンだし、子供に与える影響までは考えていなかったと思うが、昭和の悪童にはよくも悪くも、いや明らかに悪影響だが、ちょっとしたブームを引き起こした。


 女子の背後から近づき、あるいはすれ違いざまに、スカートをめくってダッシュで逃げる遊び……いや、遊びと言うのも語弊がありそうだが、ともあれそうした行為を「モーレツごっこ」と称したのである。小学校高学年くらいだと、女子の方がむしろ身体能力が高い例もままあるので、ダッシュで逃げないと恐るべき逆襲のリスクがあった。


 当時の私も、なにしろ掃除当番以外はなんでも率先して参加するという「模範的な」小学生だったので、身に覚えがないこともない。


 今更「林信吾にセクハラの過去!」などと書き立てるほど、なんとか砲とやらもヒマではないだろうし、そもそも半世紀も前の話で、いくらなんでも時効だろうと思うが、女性読者など、そのようには受け取らない方も、中にはおられるだろうか。


 深く反省しております。二度とあのようなことはいたしません。


 ……なんの話か忘れるところであった。


 まず「モーレツ」というフレーズだが、このCMから広まったわけではなく、1950年代から人口に膾炙していたものらしい。


「もはや戦後ではない」


 という有名な文言が書かれた『経済白書』の昭和31年版(1956年発行)である。この前年、敗戦から10年目にして、わが国のGDP(当時の言い方ではGNP=国民総生産)が戦前の水準を上回ったことから、こう言われた。


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