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CM史とCM炎上史(中)歳末は「火の用心」その6 

Japan In-depth / 2022年12月21日 23時0分

 サッポロビールに就職を志して面接を受けに来たが、なにを聞かれても一言も発しない学生がいた。激怒した面接官が退出を命じると、最後に


「男は黙ってサッポロビール」


 と答えたという。その結果、採用されたとか。


 いくらなんでも、これが事実だとは考えられないが、男は黙って……というキャッチコピーに、皆がそこまで強く印象づけられたということなのだろう。


 CMキャラクターは高倉健。たしかに一見して無駄口は叩かなそうに見える。


 なんでも、サッポロビールは口当たりの良さを売りにしていたが、それだけに女性好みといったイメージがあり、主たる消費者であるはずの「モーレツ社員」層の人気はいまひとつだったとか。


私自身は、今ではビール好きで、ドライビールはまだ許せるが発泡酒は金を払って飲むものだと思っていない。国産ビールで好きなのは、麦芽100パーセントのヱビスビールが一番だが、サッポロ黒ラベルも結構いける……という話ではなくて、イメージチェンジを狙って「男の中の男」みたいな高倉健を起用し、無言でビールを飲むだけという斬新な演出を考えついたそうである。


 その後「男は黙って……」というのは、お笑いを含めた様々な場で使われるフレーズになっていたが、これも、今ならどうなのだろう。


「女性の立場はどこにあるのか」


 となんとか言い出す人がいるかも知れない。


 かく言う私自身、常日頃から、男が「俺は男だ」と息巻いて見せたところで、そこからなにかが生まれるものでもないと考えているが、別にこのCMで女性の飲酒をとやかく言っているわけでもないし、もう少しおおらかになってもよいのではないか。


 そもそも昭和の時代、ウィスキーのCMに女優が起用され、


「ボトル1本空けられなくて男か」


 なんという、今なら確実にNGのキャッチコピーまであった。お互い様ではないか。


 次回・最終回において、この問題をもう一度見る。


(つづく。その1,その2,その3,その4,その5)林信吾の「西方見聞録」シリーズ



『少しもクールではない「冷笑系」(上)』『歳末は「火の用心」』その1

https://japan-indepth.jp/?p=71573



『少しもクールではない「冷笑系」(下)』『歳末は「火の用心」』その2

https://japan-indepth.jp/?p=71601



「結局は甘やかす大人が悪い(上)」『歳末は「火の用心」』その3

    https://japan-indepth.jp/?p=71751



「結局は甘やかす大人が悪い(下)」『歳末は「火の用心」』その4

    https://japan-indepth.jp/?p=71872



「CM史とCM炎上史(上)」『歳末は「火の用心」』その5 https://japan-indepth.jp/?p=71949

                                       


トップ写真:イメージ


出典:imagenavi/GettyImages


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