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「日本もやっと普通の国になった」安保3文書

Japan In-depth / 2022年12月22日 7時0分

飯田) キャップをどうはめるかですね。


宮家) 防衛力は増やさない、増やしてはいけないのだと。だからきちんとタガをはめるのだよ……という内容なのです。「こんなことをやっていたのか」と、いま昔の文書を読み直してみると、がっかりします。


飯田) 防衛力は増やしてはいけないと。


宮家) 逆に言えば、やっと日本にも「戦略」ができたということです。すなわち国益が決まり、脅威認識もできました。いままでの手段は外交と防衛だけだったけれど、当然のことですが、今後は経済安全保障やサイバーまで入ってきて、総合的にやるということです。当然の話です。それがあって、今度は国家防衛戦略を……。


飯田) いまおっしゃったのは国家安全保障戦略。


宮家) これまでは国家安全保障戦略の話です。そして、これを具体化するものとして国家防衛戦略があり、今度は防衛の目標を設定する。以前は防衛の目標も明確には設定していなかったのですから。


飯田) 防衛計画の大綱のなかには目標がなかった。


宮家) 少なくとも目に付くところには書いてありません。


飯田) パラグラフにとっていなかった。


宮家) 3つ目の防衛力整備計画は、「中期」がとれてしまっているけれど、実際にはこれが昔の「大綱」に相当します。何を保有すべきなのか、10年間でどうするのか、5ヵ年計画でどうするか、等々が書いてある。今までは最後の「防衛力整備計画」しかなかった、というか、つくっていなかったということです。


飯田) よくメディアでは、「防衛計画の大綱は名前を変えて国家防衛戦略にします」とか、「中期防の名前を変えて防衛力整備計画にします」などと言われていたのですけれど、まったく概念が違いますね。


宮家) 日本もやっと普通の国になったのです。普通の国の、普通の国家安全保障戦略ができて、その安全保障戦略に基づいて国家防衛戦略、国防戦略ができて、整備計画ができる。その上で来年(2023年)どうするのかが決まっていくのです。


飯田) 普通の国になった。


宮家) いままでこうはやれなかったのです。2013年に国家安全保障戦略はできましたけれど、当時はとにかく国家安全保障会議(NSC)をつくったあとですから。2013年の段階では、「どうやって日本のNSCを運用するか」ということで精一杯だったのでしょう。


飯田) NSCをどう運用するかで。


宮家) つくったはいいけれど、防衛戦略もなかった。その意味では、日本もようやくしっかりとした戦略ができて、それを具体化する手段が出てきているという意味では、画期的なことですよ。


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