「日本もやっと普通の国になった」安保3文書
Japan In-depth / 2022年12月22日 7時0分
飯田) 体系立ったものが見えてくること自体が、そもそもなかった。
宮家) 頭のつくり方が普通の国になった。当然のことながら、これで各国といろいろな協議ができます。「形式的に名前を変えただけ」と言われる方がいらっしゃるかも知れませんが、ちょっと違うような気がします。
これまでは「どこまで歯止めが効くのか」というような議論ばかりだった
飯田) かつては基盤的防衛力という話がありました。
宮家) いろいろな呼び方がありました。ただ、当時のように「空想的平和主義」が強かった時代は、いま私が申し上げたようなことをやろうにも、とてもそんな雰囲気ではなかったわけです。
飯田) 安全保障に関わってきた人たちには危機感があり、何とかしなくてはいけないと思っていた。
宮家) 「どこまで歯止めが効くのか」というような議論ばかりだったから、結局は中期防のようなものでお茶を濁してしまったのだと思います。その意味では今回の作業は画期的であり、本当によくやったと思います。
飯田) 安保3文書は戦後、最も重要な、そして画期的な文書であると。
宮家) 我々がつくりたくてもつくれなかったものが、ようやく連立与党のなかでも、また野党との議論もあると思いますけれど、理解が進んだという意味ではよかったと思います。
飯田) これまでできなかったものが。
宮家) 先ほど申し上げた通り、最も重要なことは「国益は何か」ということです。国益について3文書は、独立の維持や領域の問題など、普通のことが書いてあります。次の問題はやはり脅威認識ですね。脅威認識については既に報道されていますけれど、中国については「これまでにない最大の戦略的な挑戦」と書かれていますし、実際に私もそう思います。
飯田) 中国に関しては。
宮家) 北朝鮮は「従前よりも一層重大かつ差し迫った脅威」としています。また、ロシアについては、「中国との連携も相まって安全保障上の強い懸念」と、それなりに書き分けているのです。それ以外で重要なことは、いわゆる反撃能力を持つということです。報道ではここにばかり関心が集まりましたけれど、それは全体のごく一部だろうと思います。
飯田) 反撃能力はごく一部。
宮家) あとは「GDP比2%論」ですね。これも3文書の中に書き込んであるのですが、とにかく全体が膨大な文章なので、これら以外の各論が長いし、おそらく防衛省中心でつくったであろう防衛戦略の方はもっと細かい。整備計画に至っては更に細かく書いてあります。
飯田) 日本の国家としての意思を明確に示すということですね。
今週はこのくらいにしておこう。いつものとおり、この続きは今週のキヤノングローバル戦略研究所のウェブサイトに掲載する。
トップ写真:創設70周年を迎える海上自衛隊(2022年11月06日、日本・横須賀)出典:Photo by Issei Kato - Pool/Getty Images
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