米中間選挙 減りつつある上院候補者による討論会
Japan In-depth / 2022年12月23日 18時0分
本田路晴(フリーランス・ジャーナリスト)
【まとめ】
・米中間選挙で野党・共産党による上下両院の奪還はなかった。
・候補者は録音、録画されることになる討論会は将来に禍根を残すリスクが高すぎると参加に慎重になっている。
・討論が選挙プロセスの中核を占めず、候補者が支持者以外の有権者との直接対話を拒否したままで健全な民主主義は果たして保たれるのだろうか。
バイデン大統領の民主党の大敗も予想された米中間選挙は野党・共和党による上下両院の奪還はなかった。僅差だったため、12月6日に決戦投票が行われたジョージア州の上院選でも民主党は勝利し、定数100議席の上院で51議席を得ることになった。
バイデン氏は過去10回の中間選挙でも3回しか例がない政権与党による議席上積みを果たした。一方の共和党は現有議席を1議席減らした。下院こそ、共和党がようやく過半数の218議席に到達し多数派を奪還したが、その議席差はわずか9議席だった。
■ 歴代3位の決定票を投じたハリス副大統領
改選前の上院の議席数は民主党と共和党が50議席ずつで分け合っていたため、与野党の議員の投票数が同じだった場合は上院議長を兼ねるハリス副大統領の決定票を合わせ、何とか法案を通してきた。
上院における法案の取り扱いは双方が十分に論議を重ねた上での超党派による合意が理想とされているため、いくら投票数が同じだった場合の措置とはいえ、上院議長たる副大統領が票を投じるのはあまりこの好ましくないとこれまでされてきた。
無党派のオンライン政治百科事典「バロットぺディア」によると、ハリス氏はこれまで26回の決定票を投じているが、これは米史上、最も多く決定票を投じたジョン・カルフーン副大統領(1825~32年)の31回、2位のジョン・アダムス副大統領(1789~97年、後の第二代大統領)の29回に次ぐ、歴代3位の数字という。ただ、これはトランプ前大統領がもたらした負の遺産でもある「分断」が民主、共和両党の歩み寄りを難しくしたゆえの数字ともいえよう。
■ 民主、共和、上院の過半数を巡り激しく争うも減少する討論会数
上院は過半数を巡り、激戦州で激しい選挙戦が繰り広げられた。さぞ民主、共和の候補者による激しい政策を巡る討論が行われたと思いきや、米国のシンクタンク「ブルッキングス研究所」は上院選での候補者による討論会の回数が過去10年間、減少傾向にあるとする報告書を10月10日公表した。(参考:The worrying decline of the Senate candidate debate
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