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米中間選挙 減りつつある上院候補者による討論会

Japan In-depth / 2022年12月23日 18時0分

 最も激しく議席が争われた5激戦州の討論会開催数は2010年の17回から年々減り続け、今回の22年選挙(10月10日現在)で6回にとどまっている。


 タウンホールミーティングと呼ばれる地元有権者参加型の討論会は上下両院問わず、米選挙キャンペーンの華だ。候補者にとっては自らの支持者だけでなく、反対の立場を取る人間もいるので時に厳しい質問も浴びせられる。まだ投票先を決めていない有権者は候補者が冷静さを失わず、厳しい質問にもどう応じたかなどをじっくり見、丸裸にされる候補者の全人格像を見極めようとする。


 失言などで一気に支持を失う危険性はあるが、有権者と直接触れることができる大事な機会だった。ただ、最近の候補者は討論会自体を有害と捉え始めているという。失言だけでなく発言が切り取られ、ソーシャルメディアに意図しない形で流されるケースが後を絶たないからだ。


 加えて、「キャンセル・カルチャーの風潮も候補者を討論会から遠ざける要因の一つになっている」とニューヨーク市在住の民主党支持者は指摘する。主にソーシャルメディア上の過去の言動などを見つけ出し、ターゲットにした人物を排斥する手法だが、学生時代に何気なく書き込んだものまで理由にされることから、候補者は録音、録画されることになる討論会は将来に禍根を残すリスクがあまりに高すぎると参加にこれまで以上に慎重になる。


 討論会で相手がルールを守ることを前提にできなくなったのも敬遠される理由だ。2020年の第1回大統領選討論会でトランプ氏は司会の制止を無視し、しきりにバイデン氏の発言を遮った。これに倣い、共和党内のトランプ派の候補は議論そのものを拒否し、従来の規範を破ることこそが政治的美徳と考える。


 


 民主、共和問わず、選挙スタッフたちはリスクが大きい90分の討論会の準備に時間を費やすより、アルゴリズム分析で的を絞って有権者に投票と献金を働きかける方がより効率だと考え始めているという。


 


■ 公開討論会の伝統も今は昔


 米政治の伝統ともいえる候補者同士による公開討論会で最も有名なのは1858年のイリノイ州の上院議員選挙だ。


 上院議員を目指すエイブラハム・リンカーンは、現職のスティーブン・A・ダグラス上院議員と奴隷制を巡る一連の伝説的な討論会を繰り広げた。二人の候補者はイリノイ州の各地を回り、時には教会の地下、町の集会所で討論会を重ねた。両候補とも評判は向上した。上院選挙そのものは最終的にダグラスが勝利したが、2年後の1860年の大統領選挙でリンカーンは大統領に選出された。それ以降、公職を目指す候補者は公開討論会をすべしという伝統が根づいたという。


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