スポーツ中継はネットが主戦場に【2023年を占う!】メディア
Japan In-depth / 2023年1月2日 18時0分
安倍宏行(Japan In-depth編集長・ジャーナリスト)
【まとめ】
・去年、メディア界最大のニュースは、ABEMAによるサッカーW杯全64試合無料生中継。
・サイバーのメディア事業の赤字幅は2020年から縮小傾向に。
・テレビも変わらなければ、今後、W杯やボクシング、格闘技などのメインマッチなどは地上波では観れなくなるかもしれない。
2022年、メディア界最大のニュースは、インターネットテレビのABEMAによる「FIFAワールドカップカタール2022」開幕戦から決勝までの全64試合無料生中継だろう。
なぜこれが最大のニュースなのか。それは、スポーツ中継の担い手が、地上波テレビからインターネットテレビに移った歴史的な年だからだ。
ABEMAを知らない人もいるだろうから簡単に説明すると、株式会社サイバーエージェントと株式会社テレビ朝日が出資して2015年4月に設立された株式会社AbemaTVが運営する、ライブストリーミング形式インターネットTVプラットフォームであり、ビデオ・オン・デマンド・サービスだ。ようは、スマホで見るテレビだと思えばよい。2016年4月から放送を開始しており、すでに7年目に突入している。
サイバーエージェントとは、メディア事業、インターネット広告事業、ゲーム事業を主とするIT企業である。
▲図 ABEMA、FIFAワールドカップカタール2022ロゴ 出典:サイバーエージェント
今回ABEMAがすごかったのは、完全無料生中継だけでなく、見逃しフルマッチ配信、追っかけ再生、ハイライト(名場面集)、マルチアングル映像、試合データなど、新しい機能が満載で、従来のテレビ視聴とは異なる新視聴体験を提供したことだろう。また、本田圭佑氏の歯に衣着せぬ解説も好評を博した。
しかしなんといったって、テレビの前にいなくてもスマホさえあればいつでもどこでも試合を視聴出来る、というのは大きい。移動中だろうが、ベッドの中だろうが、好きなときに観ることができるという便利さが受けたことは間違いない。かくいう筆者もおおいにABEMAを利用させてもらった。
実際、かつてないほど多くの人がABEMAでW杯を観た。日本対スペイン戦、コスタリカ対ドイツ戦などが中継された去年12月2日の視聴者数(ABEMAに訪れたデイリーのユニークブラウザ数)は、1700万人を突破し、ABEMA開局史上最高数値を記録したのだから。(サイバーエージェントプレスリリース 2022年12月3日)
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