北朝鮮「党中央委総会」注目点と金正恩の「異常」
Japan In-depth / 2023年1月7日 23時0分
朴斗鎮(コリア国際研究所所長)
【まとめ】
・朝鮮労働党中央委員会第8期第6回総会拡大会議、去年末開催さる。
・核ミサイル開発に総力を注ぐとの方針示し、韓国を「敵」と公言、対米強硬路線を強化した。
・韓国の親北朝鮮派元統一部長官も「北朝鮮は最悪状態だ」と発言。
朝鮮労働党中央委員会第8期第6回総会拡大会議が2022年12月26日から31日まで、党中央委員会の本部庁舎で金正恩総書記の司会のもとで行われた。金正恩は体力に自信がないのか4日に分けて報告を行った。
総会では次の5つの議案が討議された。
1、2022年度の主要党および国家政策の実行状況の総括と2023年度の事業計画について
2、組織問題(人事)
3、2022年度の国家予算執行状況と2023年度の国家予算案について
4、革命学院に対する党の指導を強化することについて
5、新時代の党建設5大路線について
第1議題の国家政策実行状況の総括では、戦略兵器開発のほか、「人民が最も喜ぶ事業」と呼ぶ住宅建設で成果を上げたと強調したが、他の経済分野の具体的言及はなかった。
北朝鮮メディアは、金正恩が「経済各部門で達成すべき経済指標と12の重要目標」と「農業分野で徹底して重視すべき課題」を示したとしたが、具体的な方針も昨年の実績への評価も伝えていない。
核ミサイル分野でも開発速度が予定よりも遅れているようだ。特には金正恩が最も力を入れていた潜水艦発射型ミサイル(SLBM)の開発の遅れが目立つ。
また依然として末端党員と若者世代の政治思想意識低下も続いているようだ。第4議題で「革命学院に対する党の指導を強化することについて」が討議されたのは、そうしたことと関係した新世代育成重視の切実さを示すものだと思われる。
1、今回「党中央委総会」での注目点
今回総会での注目点は、まず第一に、金正恩を「偉大な首領」として偶像化する作業がさらに強化され党員に対する統制が強化されたことだ。
「偉大な首領」の条件づくりでもっとも重要な要件は「新たな思想の提示」だが、それが第5議案の「新時代の党建設5大路線について」である。すでにあった「3大党建設思想理論」(組織建設、思想建設、領導芸術建設)を「5大党建設思想理論」(政治、組織、思想、規律、作風建設)に拡大させ、新しい思想理論を提示したと大々的に宣伝し、決定書まで採択した。
この偶像化強化のための人事では、新たな党中央宣伝扇動部部長としてチュ・チャンイル(党中央委員会政治局委員候補に昇格)が任命され、党中央部長兼中央歴史研究所所長にリ・ヘジョン(党中央委員会委員)が任命された。
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