1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

戦車に匹敵する攻撃力を持つ装輪偵察車AMX10-RC

Japan In-depth / 2023年1月10日 18時8分

戦車に匹敵する攻撃力を持つ装輪偵察車AMX10-RC


 


清谷信一(防衛ジャーナリスト)





【まとめ】


・仏政府はウクライナに対し装輪偵察車AMX10-RCを供与することを決定。


・AMX10-RCは偵察だけでなく、火力支援、対戦車戦闘も行える。


・砲塔左にはEADS製の赤外線ミサイル攪乱装置EIRELを搭載していて生存性を高めている。


 


 フランス政府はウクライナに対して装輪偵察車AMX10-RCを供与することを決定した。AMX10-RCは現在進められている仏陸軍のスコーピオン計画でEBMR(Engin Blindé Multi Rôles:medium-weight component)と位置づけられた車輌ジャガーで更新される。これは既存の装甲偵察車輌であるAMX-10、ERC90サゲー、HOT搭載型VAB、メフィストの3車種偵察車輌の後継となる。このため不要となる車輌だが、現在の戦闘車両として依然高い戦闘力を維持している。


戦後フランスは多くの海外植民地を失ったが、それでも北アフリカや中東などの旧植民地を中心に、軍事拠点を維持し、また兵力の投射能力を保有している。その装甲車輛中心となるのは調達・維持費が安く、兵站がコンパクトな装輪装甲車だ。フランスは独自の核武装を行っており、国防費の少なくないパーセンテージを核戦力の維持に宛てる必要がある。その文、通常兵力は圧迫されることになる。しかもGNPは60年代に我が国に追い抜かれており、長年にわたって我が国よりもかなり少ない国防予算の下で海外展開兵力とその装備を維持しなければかった。装輪装甲車が主力となったのは必然とも言える。


AMX10-RCはフランス陸軍が採用していたEBR8×8装甲車の後継として、1970年からジアット(現ネクセター)社が開発してきた偵察用6×6装甲車である。仏国防省DGA(装備調達庁)はトライアルを経て76年に525輛を発注したが、その後追加発注が行われて最終的には94年までに337輛が発注され、外人部隊の第1外人騎兵連隊 (1REC) や海兵隊の陸軍の海軍歩兵戦車連隊などに配属されている。


フランスには海軍に所属する海兵隊(Force maritime des fusiliers marins et commando)と陸軍の海兵隊(Troupes de marine)があるが、後者は植民地の警備などを担当する部隊で1967年に陸軍に移管されたもので、現在は第9海兵軽機甲旅団を中心に陸軍の緊急展開部隊の一翼を担っているが、水陸両用戦部隊ではない。水陸両用作戦が可能な本来の意味の海兵隊は海軍の部隊のみである。


この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください