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スマホは自分で修理する時代?議論呼ぶ、NY「修理する権利」法

Japan In-depth / 2023年1月12日 19時0分

去る2022年12月28日、ニューヨーク州でアメリカ初の「デジタル公正修理法」にキャシー・ホークル知事が署名、今年7月1日から施行されることとなった。


「デジタル公正修理法」とは、消費者には「デジタル機器を自分で修理できる権利」があり、デジタル機器メーカーにそのための純正部品の提供、修理マニュアルの公開などを義務付けた、全米初の法律である。


事は、2012年にマサチューセッツ州で可決された「自動車所有者の修理の権利法( 単にRight to Repairとも呼ばれる)」に始まる。


今回はデジタル機器を対象にした「修理する権利」法案で、昨年7月に州議会で可決、州知事の署名を待つのみ、となっていた。昨年末の期限までに知事が署名しなかった場合、法案は差し戻しとなり、その成立が危ぶまれていたが期限直前にホークル知事が署名、成立となった。


署名までに時間がかかった背景には、複数の大手デジタル機器メーカーが法律の施行に反発、強力なロビー活動による圧力があったから、とされる。


今、この記事を読まれている方は、自分が使っている電化製品に致命的な故障が発生したら、どうするだろうか?


「製造メーカーに持ち込まないと修理できないので面倒」「修理に出すより、買ったほうが安い」などの理由で、まだまだ使えるはずの電気製品を捨てたりした経験がおありではないだろうか?こういう状況が発生するたびに、貧乏性の自分は「まだ使えるのに」と、後ろめたい気持ちにさせられる。


まだまだ使える製品を、故障したらから、と廃棄、使い捨てにする風潮への非難や、疑問は昔からあった。


今回の法律が成立した背景には、2021年7月に、バイデン大統領の指示で、FTC(連邦通信委員会)が「修理する権利を制限するメーカーの慣行に対する法的処置を強化する」と発表したことも大きい。その影響もあってか、今回の法案成立に先立つ昨年4月、アップルは、ユーザーに純正部品やマニュアルを提供し、デバイスを自分で修理することができるようにしたセルフリペアサービスを開始した。サムスン、グーグルもその流れに追従する姿勢を見せている。


実はこれらの動きはヨーロッパの方が早かった。


2020年、EUではすでに「修理する権利」を認める法案が採択されている。


根底には、メーカーしかできなかった修理を、自分でもできる、という選択肢を消費者に与えることで、廃棄される機器を減らし、持続可能な循環型経済、社会を目指す、という考え方がある。この流れはもはや世界的な流れであり、今後、この流れは加速する方向に動くだろう。フランスでは電気製品に「修理のしやすさ」のスコア表示を義務付け、今後は消費者はそれを見て、製品を選ぶこともできるようになるという。


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