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ワイン通=オタク論 酒にまつわるエトセトラ その7

Japan In-depth / 2023年2月1日 7時0分

女性と飲食を共にして、相手がポートワインをおごって欲しいと言ったら、それは。


「今夜はOKよ」


というサインだという話もある。これはあくまで都市伝説なので、この話を鵜呑みにしてなにか問題が生じても、筆者とJapan in depthでは責任を負わない。


話を戻して、ワイン好きな人が皆そうだというわけではないが、かなりの割合で、ワイン以外の酒(とりわけビールやウィスキー)を見下す傾向があって、これこそ私が彼らと仲良くできないと考える、もうひとつの理由だ。


ワイン好きとオタクが同列に見えるというのも同じ理由で、ワイン以外の酒を認めないと言わんばかりの態度は、いくらなんでも了見が狭いのではないか。


以前にも述べたことがあるが、ウィスキーの世界もなかなかに奥深いものであるし、自分の嗜好と知見だけが最高のもの、というのは、思い上がりもはなはだしい。


さらに許しがたいのは、金持ちアピールのために高価なワインを見せびらかす手合いだ。


世がバブル景気に沸いていた1980年代末期、私は日本にいなかったので、直接的な見聞はなきに等しい。この話は『課長・島耕作』(弘兼憲史・著 講談社)という漫画で仕込んだネタなのだが、当時関西の高級クラブでは、


「ロマコンのピンドン割り」


という注文がよくあったそうだ。


ロマコンとはフランスでも最高級とされる銘柄ロマネ・コンティで、ピンドンとは同じくシャンパンの中でも最も高価な部類に入るドン・ペリニョンのピンクのことだ。それぞれ(ワインの方は年代にもよるが)、飲食店で頼むと1本数十万円する。


漫画の台詞を借りれば、


「フランスでそんなことしたら死刑ですよ」


という所業だ。私は根っからの博愛主義者なので、殺意までは覚えないが、さすがにこれはひどい。値段のことを言う以前に、精魂込めてワインを作った人たちに対する、一種の暴力である。


その後バブルは崩壊し、デフレと呼ばれる世相の中で、ワインの値段も下がってきた。


それも追い風になって、今や日本はアジアで突出したワイン大国となっている。ただ、日常的にワインを楽しむという文化が本当に日本に根付いているか、どうか。


人間、水を飲まないと生きて行けないが、酒を断っても死ぬことはない。肩肘張らず、安くておいしい物こそ最高、という価値観を捨てずに行きたいものだ。


(つづく。その1、その2、その3、その4、その5、その6)


トップ写真 出典:gilaxia/gettyimages


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