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今更ながら「新成人」へ 酒にまつわるエトセトラ 最終回

Japan In-depth / 2023年2月2日 18時0分

前回、バブルの頃の逸話として「ロマコンのピンドン割り」を例に挙げたが、実はあれこそ、日本のサラリーマンが酒の楽しみ方を知らない証拠だというのが私の真意である。


「安酒飲んで憂さ晴らし」


という飲み方しか知らなかった人たちが、突如として天井知らずの社用交際費(要するに会社のカネ)を使えるようになったものだから、こういうアホな飲み方を考えつく。繰り返し述べるが、こういう飲み方は、精魂込めてよい酒を造った人達に対する一種の暴力である。そして、本来の意味では豊かさと対極にある行為なのだ。


人間、水を飲まないと生きて行けないが、酒を断っても死ぬことはない。ならば、酔うために飲むより、楽しむために飲む方がずっとよいのではないか。


居酒屋に行ったと思って、スコッチバーでシングルモルトを1杯楽しんでみてはいかがか。大丈夫。これはいくらですか、と聞いても、失礼に当たらない。気の利いたバーマンなら、むしろ積極的に、予算と嗜好を尋ねてくれるし、実際問題として、それほど高くない。


以前そうしたバーで、カウンターに腰を下ろすなり、


「今日は5000円で3杯飲ませて。できれば島系で」


と言っている人がいて、やるなあ、と感心させられた。島系とは、スコットランド北西沖にあるアイラ島の蒸留所から出た酒、という意味だ。かなりスモーキーで、好き嫌いが分かれるところではあるけれども(私はもう少し穏やかなハイランド系が好きだ)、いかにもスコッチをよく知っている人だと脱帽した。同時にこうも思った。


この人はこういう粋な飲み方ができるようになるまでに、一体いくら使ったのだろうか、と。やはり、本物を知るには、ある程度の資本投下は必要なのである。


諸物価高騰の折、無茶なことを言うものではない……という批判に対しても、私のスタンスはほとんど変わらない。これまた実際問題として、缶ビール2本分の金額で発泡酒が3本帰るか買えないか、といった程度ではないか。ならば「ビールもどき」の味にわざわざ慣れる必要もあるまい。


くれぐれも、飲酒のための飲酒にだけは走らないでいただきたい。それはアルコール依存症という、れっきとした病気の初期症状なのだから。


(完 その1、その2、その3、その4、その5、その6、その7)


トップ写真:イメージ 出典:Commercial Eye/GettyImages


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