風船爆弾連想させる中国〝スパイ気球〟
Japan In-depth / 2023年2月6日 11時0分
風船作りには、全国の女学生らを動員、各地の体育館など大きな建物が使用され、機密保持のため深夜や明け方などに作業が行われたという。こんにゃく糊の製造のために、全国でこんにゃくが品薄になったという嘘のような話もある。
■ 大戦中の作戦連想させるだけでマイナス
今回の中国の偵察気球に話を戻すと、もちろん、旧日本軍の風船爆弾とは性能も比べ物にならず、目的も異なる。
戦時中に活用された気球がいまなお、国家間の争いの手段として利用され続けていることには驚かされるが、それなりの効果を理解してのことだろう。朝鮮半島でも、脱北者らが、北朝鮮向け宣伝ビラなどを搭載した風船を大量に飛ばしている。
アメリカ国内で旧日本軍の絶望的な兵器を直接的に覚えている人は少なくなったとしても、親の世代から聞かされていた人はいるだろうから、そういう人たちにとって、中国の気球と旧日本軍の風船爆弾が二重映しになるかもしれない。
中国にとっては、それだけ反発を呼ぶ恐れが強まり、大きなマイナスだろう。
気象研究の民間気球が制御不能に陥ったーなどという説明で、だれが納得するか。
詳細な状況は明らかにされていないが、米中両国は、互いの関係の〝雪解け〟が一過性のものであったことをあらためて覚悟しなければなるまい。
トップ写真:今回スパイ気球を打ち落としたF22と同型機 出典:Photo by Omar Marques/Getty Images
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