沖縄基地問題の新局面① 「辺野古」から「安全保障」へ
Japan In-depth / 2023年2月15日 18時0分
台湾と日米同盟の(非公式な)連携が中国の台湾侵攻を抑止できれば良いが、もしこの日米の台湾支援体制が中国の台湾攻撃を止められなければ、結果はどうなるか。台湾防衛のために米軍が沖縄の基地から出撃して、その米軍を自衛隊が支援する事態が想定される。そして、沖縄諸島の基地は、中国軍の攻撃対象となる。
島嶼県である沖縄は戦時にはもろい。極端な例は与那国島だ。同島はラグビーボールのような形状で、東西約12㎞、南北約4㎞の小さな島だが、台湾から約110㎞の位置にあり、台湾有事の際には最前線になる。島を出るルートは空路と海路に限られ、石垣島まで約130㎞、沖縄本島までは500㎞以上もある。約1,500人の島民の避難は極めて難しい。
その与那国島に、監視部隊に加えて、地対空ミサイル部隊などが配備される予定だ。昨年11月に実施された日米合同演習の際には、戦車に似た機動戦闘車が島には初めて現れたこともあり、島民はきな臭さを感じる。しかも、岸田政権が政策を十分説明しないため、与那国の人たちは政府に不信感を抱く。
▲写真 陸自機動戦闘車の行走に反対する島民(2022.11.17)提供:田里千代基町議会議員
■ 中国・台湾への対話の呼びかけ
沖縄基地問題は対中国戦略の一部となり、次元の異なる新しい局面に入った。危機感を感じる沖縄の有識者などが中国・台湾双方との対話を提唱しているが、十分な情報を収集しないまま、楽天的に緊張緩和や平和外交を唱える傾向が見える。まずは急がば回れで、中国と台湾の動向をしっかり観察、分析することから始めるべきではないか。
(続く)
トップ写真:与那国島を走行する陸自機動戦闘車(2022.11.17)提供:田里千代基町議会議員
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