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中国の脅威への対処法 その9 アメリカでの制度をみよ

Japan In-depth / 2023年2月23日 18時0分

 第三は「中国に関する議会・政府委員会」という組織の活動である。





 この組織もその名称どおり、アメリカの議会と政府とが一体になって中国に関する調査を進めるという目的の公的機関である。





 ただしその主目的は中国内部の人権の状況と法の支配の状況を調べて、アメリカ側の対中政策の指針にすること、だとされている。中国の軍事動向の調査とはやや異なるわけだ。だが中国の現実を知るという意味では趣旨は同じだといえよう。





同委員会はふだんの活動の舞台はアメリカ議会である。その委員会の共同委員長には民主、共和両党の有力議員が就任し、超党派の調査活動を進める。その調査には行政府である政府の国務省、商務省、CIAなどの専門家も加わり、中国の内部にいる情報源や国際人権団体をも利用する。議会での公聴会をも頻繁に開く。





この中国に関する議会・政府委員会は中国側で新たな人権弾圧の事例が表面に出たような際に、とくに敏速に反応する。なかでも一貫して提起してきたのが天安門事件での中国当局の弾圧だった。毎年、事件の記念日の6月4日が近づくと特別の公聴会を開いてきた。





私の傍聴したこの公聴会の主役は天安門事件で当時、民主化運動の指導者として活動し、その後の弾圧を逃れて、海外に避難したウーアルカイシ氏や周鋒鎖氏だった。彼らが証人として登場し、当時の天安門広場での弾圧から中国当局によるその後の長く、むごい民主化運動抑圧の実態をなまなましく語るのである。





同委員会は中国当局のチベットやウイグルでの人権抑圧に対しても公聴会を開いて抗議を表明してきた。とくにチベット問題ではチベット人の人権保護の国際組織を代表する有名な映画スターのリチャード・ギア氏が何度も公聴会に招かれて、雄弁な証言をしていた。





中国に関する議会・政府委員会も特定な法律に基づき、2000年に設置された。その日常の活動は毎年、膨大な年次報告書にまとめられ、公表される。その内容は中国当局による各種の人権弾圧の実態報告と、アメリカ当局がその実態にどう対応すべきかの対中政策への勧告だった。





 以上のようにアメリカでは行政府と立法府の両方が公式に中国政府の行動を監視し、報告しているのである。すでに確立された制度なのだ。しかもこの監視の態勢はアメリカの歴代政権が中国に対して正面ではまだ関与政策と呼ばれる友好に近い姿勢を保っている期間からすでに築かれてきたのだ。この点はアメリカ側の中国に対する長期の不信とか警戒の結果だといえよう。





 日本もこうしたアメリカの制度を少しは参考とすべきである。





(つづく その1、その2、その3、その4、その5、その6、その7、その8)





トップ写真:中国北京の天安門広場で2021年7月1日に共産党100周年を記念する式典での人民解放軍の軍楽隊。





出典:Photo by Kevin Frayer/Getty Images





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