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やはり要注意「公共交通機関」本命は「進行方向多様性」~人流データからの発見~

Japan In-depth / 2023年3月14日 12時25分

この問いに対する答えを導く分析結果も、上記のAgoop社製のポイント型人流データから発見できた。









▲図





この図にみられる驚くほどの相関の強さの意味を説明すると、横軸は「移動方向エントロピー」という、私が考案した単純な数値である。その意味は、スマホを持った各個人が向かう方角(北が0度)が、地域全体としてどれだけばらついているかというものである。





縦軸は、人口1万人あたりの感染者数。この図から、「人々の移動方向がばらついている街は、感染リスクが高い」という法則がはっきりと見える(やや専門的用語を持ち出すと、ピアソン相関係数が75%を超える非常に高い相関)。





広い地域で様々な方向に走る道があって、それらの上に同じ数の人がいたり、円形の道を同じ密度で人々が移動している場合にも、この移動方向エントロピーは高くなるが、実際には駅の近くに人が集まり、円形の道はほとんどない。移動方向エントロピーが高いのは、駅などの人口密度の高い場所に多方向から人が出入りしている場合であると考えられる。





すなわち、どの駅の周りがハイリスクかという上記の問い対する答えは最後の選択肢、つまり、多方向からそして多方向への人の移動がある駅や駅のある地域である。逆に、もし、あなたの住む地域で全ての人が同じ方向に歩いてゆくばかりなら、感染拡大のリスクは小さいということになる。





この法則には、二つの理由が考えられる。





ひとつは、人々が同じ方向に向かって進んでいれば、面と向かってウィルスをぶっかけ合うような会話や接触をしないからである。その逆に、レストランや居酒屋でも、向かい合うと感染リスクが増してしまうということは周知であろう。しかしながら、向かい合った角度ですれ違う時間は一瞬で、その間に感染が起きることは考えにくい。





いまひとつの理由は、行き交う人の多様性にある。神社の参道を行く人たちは老若男女さまざまであり、様々な家庭や職場に属し、そのうちいくつかの集団は集団内で交じり合い、同じ向きに進む人の流れに乗って進んでゆく。参道から出ると、土産を買いに行く人もいれば、駅近くのレストランや居酒屋に入って、多様性の中での会話を楽しむ人もいる。大きな駅に集まる人々となれば、この多様性は一層増すことになる。





一方、ある大学の近所を歩く学生たちは、大学から帰宅する際には一斉に駅に向かい、電車に乗れば乗降客数の多い駅に向かってゆくことが多いので、移動方向が揃いやすい。このように、安全性を求めるのであれば、個々人が多様なコミュニティと向き合ってしまう環境を避けられる街にいるのが安全だということになる。





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