コオロギ給食はまずかった(下)今こそ「NO政」と決別を その2
Japan In-depth / 2023年3月24日 18時0分
林信吾(作家・ジャーナリスト)
林信吾の「西方見聞録」
【まとめ】
・昆虫はタンパク質が豊富で栄養価も高い「次世代フード」。
・「昆虫食ごり押し」は陰謀論だと疑われかねない。
・大手企業が昆虫食事業に相次いで参入表明、冷静な議論こころがけたい。
前回、複数の芸能人が昆虫食好きをカミングアウトしたところ、
「政府が昆虫食をごり押ししている」と考える人たちからネット上で攻撃された、と述べた。
この「ごり押し説」に真実性はないのだが、どうしてこうした考え方が出てきたのかは、やはりきちんと見ておく必要がある。
これまた前回も述べたことだが、わが国で昆虫食がクローズアップされるようになったのは2020年代に入ってからで、多くの人が、いささか唐突な感じを受けたに違いなく、そのことが陰謀論の下地になったのではないかと思われる。
さかのぼれば2013年に、FAO(国連食糧農業機関)が、地球人口が現在のペースで増加し続けたならば、遠からず深刻な食糧危機に見舞われるであろう、という文脈の中で、昆虫は牧畜などとは比較にならないほど簡単に食料となり、かつタンパク質が豊富で栄養価も高い「次世代フード」であるという報告書をまとめた。
つまりは、日本政府が唐突に昆虫食を推奨したのではなく、10年前から国際的に注目されてはいた。
とは言え、なにかと「世界の大勢」になびくのが好きな日本人も、昆虫食に対する拒否反応ばかりは、かなり根深いものであった。
今年に入ってから、大手グルメサイトの「ホットペッパー」が、20代から60代の男女1000人あまりを対して実施したアンケート調査では、実に88.7パーセントの人が、昆虫食は「避ける」と回答し、うち62.4パーセントは「絶対に避ける」と答えた。前回、世論調査でも支持が得られていないと述べたのは、具体的にはこのことを指している。
私も回答を求められたら「避ける」と答えたと思うが、これは「他に食べるものがあるのだから」くらいの、消極的な否定の姿勢である。
またまた私事に渡ることをお許し願いたいが、子供の頃から幾度も信州を訪れていて、長野県ではなく信州と呼ばないとしっくりこない、というくらい、あの土地は好きなのだが、昆虫食だけは御免だと思っていた。
その信州は最近、昆虫食の本場としても注目されているが、イナゴ、蜂の子、蚕のさなぎ、ざざ虫が四天王と呼ばれるそうだ。
温泉旅館の食卓に並ぶことは滅多にないが、道の駅では売られている。
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