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牛乳の市場開放にはメリットもある 今こそ「NO政」と決別を その5

Japan In-depth / 2023年3月31日 11時0分

牛乳の市場開放にはメリットもある 今こそ「NO政」と決別を その5




林信吾(作家・ジャーナリスト)





林信吾の「西方見聞録」





【まとめ】





・コロナ禍の需要激減により、牛乳の生産調整や牛の殺処分が行われている。





・昔から牛乳の生産調整が行われており、乳製品の供給が不安定になることも。





・酪農の在り方を一新し、牛乳を貿易商品とすることで、事態は改善されるはず。





 





「NEW(乳)プラスワンプロジェクト」という言葉をご記憶の読者はおられるだろうか。





昨年、新型コロナ禍のあおりで、飲食店や学校給食などにおける、牛乳および乳製品の需要が激減したことから、5000トンほどの牛乳が過剰となり、廃棄しなければならなくなる……そのような懸念が出たことから、岸田総理が、「各家庭でいつもより牛乳を1杯余計に飲んでいただきたい」などと語ったのだが、実はこれ、総理の発案ではなく、農水省が大真面目に考えた「対策」だったのである。





名づけて「NEW(乳)プラスワン……」というわけだ。





そんなこと言っていたかな……と首をかしげた読者は、むしろまっとうなメディアリテラシーの持ち主とお見受けする。あの人の言葉は、とにかく心に響かない。





いや、これは冗談ごとでなく、くだんのプロジェクトの成果がどのようなものであったか。





今年3月以降、乳牛を殺処分すれば1頭につき15万円の補助金を出す、として政府は50億円ほどの補正予算を計上した。





「乳が搾れるのに搾るなと言われ、そればかりか、かわいい牛を殺せとは……」





といった酪農家達の嘆きの声は大きく報じられ、未だ記憶に新しいところだ。





しかも、こうした「生産調整」は、今に始まったことではない。





1980年代に一世を風靡した『北の国から』というドラマがあった。





田中邦衛演じる主人公が、子供達=小学生の兄妹ともども東京から北海道の富良野に移住し(主人公=父親はUターンであった)、自給自足のような生活を始める物語だが、生産調整の結果、食紅を混ぜて廃棄された牛乳をもらい受けてきて、ピンク色のバターを自家製する、というシーンがあった。





今回は、そうした生産調整では追いつかなくなり、殺処分の奨励という極端な例となったことからマスメディアも注目することとなったが、昔からあった問題なのだ。





ならば、牛乳や乳製品は慢性的に生産過剰だったのかと言えば、そうでもない。





2014年にはバターの不足が深刻となり、スーパーでも「お一人様一個」と販売を制限したり、ケーキやパフェを供する飲食店でも、原料の価格高騰が経営を直撃した。





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