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児童手当の問題は所得制限だけではない

Japan In-depth / 2023年4月3日 11時0分

3)行政の対応





(1)ギャンブル依存症の診断書を持参かつ育休前は妻の方が年収高のケース





このケースはギャンブル依存症の診断書を持っていたにもかかわらず、





①離婚協議中かつ住民票でも別居の事実が確認できること





②DV証明の提出(住民票は移さなくていいが、子どもを妻の扶養にしなければいけない)





を提出しなくては、口座変更はできないと言われる。





しかもこのケースの場合、もともとは妻の方が収入高だったのだが、妻が育休中に収入がなくなり夫の口座に変更された経緯がある。





妻が夫のギャンブル依存症問題に気づき、当会に訪れたのはまさに育休中のことであった。





その後、妻は当事者にギャンブル問題をしっかりと体感し、直面化して貰うために別居を決意する。妻子が自宅に残り、夫に出て行って貰ったのだが、その際に夫が住民票の移動と世帯分離を拒否した。その後の説得で、夫が住民票を移動し再び窓口に相談に訪れたが、行政では「別居だけでなく離婚の意思がなくては変更できない」との回答であった。





行政の対応は、最初から離婚ありきで、「ギャンブル依存症は回復できる病気」ということは全く念頭にはないのである。





この対応の一体どこが少子化対策と言えるのだろうか。





また、別居中に定期的な養育費の入金が確認されたため経済的DVにはあたらないとされる。ギャンブル依存症でどれだけ借金を作ったとしてもそこは考慮されないのである。このような経過で現在夫とは別居中、子どもの主たる養育は妻が行っているにも関わらず、児童手当は夫に振り込まれている。





(2)DVの支援措置を受けても認められなかったケース





ギャンブル依存症者が妻と同居をしていると、しつこく金銭を要求されたり、逆ギレされるため妻の心理的負担が大きい。またギャンブル依存症者が金銭で行き詰まっても、妻が家賃や光熱費の支払いをきちんと行い、食事の用意をしている限りは、ギャンブルによる問題もなんとか切り抜けてしまうので、なかなか問題を認められない。「ギャンブルを止めない限り、生活ができない」という現実に直面化できないのである。





そのためこのケースでも夫の回復を願って妻は別居を決意したが、夫に押しかけられることを恐れ、住民票を移動しなかった。そして児童手当の口座変更を申し出たが、住民票の世帯分離をしなくては、口座変更は認められないとのことだった。





そこで過去に夫に通帳を投げつけられたことからDVの支援措置を得て、(相手に新住所が伝わらないようにできる)住民票を移動した。ところが今度は「DVシェルターに入っていなければ、支援措置だけでは認められない」と言われてしまう。挙げ句の果てには度々相談に訪れる妻に向かって、窓口担当者から「早く離婚したらどうか」と暴言を吐かれてしまう。





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