「貯蓄」か「投資」か、早めに決断を「新入社員に贈る言葉」その8
Japan In-depth / 2023年4月10日 13時14分
林信吾(作家・ジャーナリスト)
林信吾の「西方見聞録」
【まとめ】
・昨今の日本は定年まで働くというのは考えにくいことになりつつある。
・何かスキルを磨くために自分へ投資し、資格や実力をつけるべき。
・どこの会社でも務まる人材になることは、今の会社でも真に必要とされる人材になること。
編集部から「新入社員に贈る言葉」を求められ、実は困惑しました。
私はサラリーマン経験が、事実上ない人間だからです。
とは言え、自身のキャリアをあらためて振り返ってみますと、企業に所属した経験がないわけではありません。単に、自分はサラリーマンだと思ったことがないだけで。
さらに言いますと、英国ロンドンで日本語新聞を発行していた時などは、多くの日系企業を取材してきました。公私にわたって交流した駐在員も数多くいます。
彼らの姿を通じて、日本の企業社会がどういう論理で動いているか、やや批判的な視点から『日本国ロンドン村』(マガジンハウス、電子版アドレナライズ)という1冊にまとめた経験もあります。人の上に立つ難しさも知りました。
囲碁で、対局中の本人よりも傍で見学している人のほうが状況をよく把握できる、という意味で「岡目八目」などと言いますが、私と日本の企業社会との関係も、これに近いものではないか、と考えるに至りました。
さて、本題。
「三日、三月、三年」
という言葉を、どこかで聞いたことはないでしょうか。
つい先日まで、学生生活を謳歌していた若い人が社会に出ると、三日目でまず挫折感を味わう。とりわけ、都会の満員電車での通勤など、耐えがたい人も多いでしょうし、その気持ちはよく分かります。なにしろ、豚をあの密度で詰めたら死ぬ、と聞きますから。
三月というのは、新卒入社の場合、最初の夏休みあたりです。そろそろ会社の雰囲気も把握できた頃ですが、今度は閉塞感にとらわれる。自分はあと40年もここで働くのか、と。
そして、三年目。仕事にも少しは慣れ、後輩も出来た頃、自分には違う生き方もあるのではないか、というように考える人が多い、ということのようです。
『若者はなぜ3年で辞めるのか』(光文社新書)という本もあれば『できる若者は3年でやめる!』(出版文化社)というのもあって、どちらもなかなかよく売れているようです。
真面目な話、昨今の日本の経済状況や企業のポリシーを見るにつけ、定年まで働くというのは、むしろ考えにくいことになりつつあるように思います。人生の大半を会社の一員として過ごすという生き方など、美徳でもなんでもない、と考えられるようになってきたのではないでしょうか。事実、名門と称されるK書店の幹部編集者から、
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