移民労働者と技能実習生(上)ポスト・コロナの「働き方」について その1
Japan In-depth / 2023年4月15日 11時0分
これは世界26位の数字で、1位は米国、2位はロシアだが、これについては後で述べる。
いずれにせよ、日本における移民の多さは、世界屈指と言って過言ではないのだが、多くの人はそうした意識を抱いていない。だからこそ「隠れた」移民大国と呼ばれるのだ。
そうなると議論を提起する前に、そもそも移民とはなんであろうかという定義を、はっきりさせておかねばならないが、実はこれがなかなか厄介なのだ。
IOM(国際移住機関=人口移動に関する活動を行う国連機関)によれば、移民とは、
「本来の居住地を離れて、国境を越えるか、一国内で移動している、もしくは移動したあらゆる人」
を指すとして、本人の法的地位や移動の自発性、理由、滞在期間などは問わないことになっている。
しかしこれでは、いわゆる転勤族も移民にカウントされるのか、という話になりかねない。
実は、移民の定義や、移民と難民の違いについては、専門的な論文が何本も世に出ているほどで、結構ややこしいのだが、1997年に発表された国連事務総長報告書の定義が、おそらく一番分かりやすいだろう。
「通常の居住地以外の国に移動し、少なくとも12ヶ月間当該国に居住する人のこと」
とされている。
こう述べると、またしても首をかしげる読者がおられるのではないだろうか。
滞在期間が1年以上に及ぶ外国人労働者など、今やそれほど珍しくないのに、どうして彼らを移民と呼ばないのか、と。
まさにその点が問題で、日本政府は「移民」と「外国人労働者」は別物である、というスタンスをとり続けてきた。日本が「隠れた」移民大国だと呼ばれる理由も、政府のこうした曖昧な姿勢に、その原因が求められる。
1960年代末、高度経済成長を背景に、日本企業の海外進出が相次いでいたが、現地採用した(つまり外国人の)従業員を日本に呼んで研修を受けさせるケースも増え始めた。
海外支社や現地工場での業務をより円滑化する、というのが大義名分であったのだが、当初からタテマエと本音が乖離するケースも見受けられたのである。
1977年に『岸辺のアルバム』というTVドラマが放送され、反響を呼んだ。
それまで絵に描いたような良妻賢母のイメージだった八千草薫が不倫妻を、良家の子女役が多い「お嬢様キャラ」だった若き日の中田喜子が、外国人男性の子を身ごもる長女を演じて話題となったが、夫であり父である男性の会社は、中堅どころの商社という設定だったが、東南アジアの女性を研修生の名目で日本に呼び寄せておきながら、実際はホステスとして働かせるべく業者に斡旋する「事業」まで行っていた。
この記事に関連するニュース
-
インドが日本の人手不足救う 14億人の活力、介護からITまで人材の宝庫
産経ニュース / 2024年6月27日 10時0分
-
【インドネシア政府公認】技能実習生の費用負担を極小化する『IJCプログラム』受け入れ400名・実習内定350名突破、さらに360名受け入れ目標進行中
PR TIMES / 2024年6月26日 13時40分
-
米国務省報告書 日本の技能実習制度を引き続き問題視 4段階評価で2番目のランク
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年6月25日 11時18分
-
外国人労働者の権利を守る育成就労制度、地方がとるべき対策とは 行方不明者0名の実績、定着に関する無料相談窓口を6月3日開設
@Press / 2024年6月18日 15時0分
-
改正入管法成立、技能実習は廃止 外国人政策の転換、育成就労創設
共同通信 / 2024年6月14日 16時24分
ランキング
-
1茂木敏充氏が自民総裁選に意欲も…《河野もあり得ないが、茂木もあり合えない。そろって勘違い》と悪評ふんぷん
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年7月1日 9時26分
-
2脳裏に焼きつく救助の光景 「忘れない」消防士の誓い 能登地震半年
毎日新聞 / 2024年7月1日 17時51分
-
3会わせないように…母・田村浩子被告が出した“苦渋のアイディア”明らかに すすきの殺人裁判
STVニュース北海道 / 2024年7月1日 16時14分
-
4富士山の山梨側「吉田ルート」で山開き 新たな入山規制始まる
毎日新聞 / 2024年7月1日 10時21分
-
5セクハラ辞職の前町長、100万円収賄容疑で再逮捕…岐阜県池田町
読売新聞 / 2024年7月1日 14時39分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)