本当に「AIが仕事を奪う」のか(上)ポスト・コロナの「働き方」について その3
Japan In-depth / 2023年4月21日 19時0分
林信吾(作家・ジャーナリスト)
林信吾の「西方見聞録」
【まとめ】
・野村総研、今後10~20年以内に、「49%の職種が、AIやロボット等で代替可能」と推測。
・AIを含めたハイテクはツールであり、使う人間の心がけ次第。
・生活向上に寄与することもあれば、人命を奪う結果を招いたりもする。
大手転職斡旋サービス「エン・ジャパン」が2019年に実施した調査によると、正社員として働いている人のうち、およそ40%が、「近い将来、仕事がなくなるかも知れない」という不安を抱いているそうだ。
これはあながち被害妄想じみた話ではない。
先立つこと4年、すなわち2015年に野村総研とオックスフォード大学が共同発表した、AI(人工知能)の導入拡大と技術的進歩が、日本人の仕事に及ぼす影響についての研究が、各方面に衝撃を与えた。
国内601の職業についてシミュレーションを行ったところ、今後10~20年以内に、「49%の職種が、AIやロボット等で代替可能」と推測されるそうだ。別の言い方をすれば「仕事がなくなる」職種だが、一般事務職や工場作業員にはじまって、銀行のテラー(窓口業務)、各種交通機関の運転、警備員まで、たしかに幅広い。
直近の例では、画像作成ソフトが長足の進歩を遂げていることから、近い将来アニメーターの仕事もなくなるのではないか、などと囁かれている。AIで小説や記事も書けるようになるという話も聞くので、ならば、私も失業の危機にさらされるわけだが……
率直なところ「なにを今さら」という気がしてならない。
私がまだ駆け出しのフリーランス・ライターであった頃、元号はまだ昭和だったのだが、ある会計事務所を取材した時の話だ。
その事務所では、公認会計士以下、6名のスタッフと6台のパソコンでもって、1000社分(1000人分ではない)の給料計算を一手に引き受けられる、と自慢げに語っていた。
公認会計士だから、クライアントは上場企業などだろうが、ある程度の規模の会社の場合、1人くらいは給料計算に専従しているはずだから、差し引き994人分の仕事がなくなるわけか……というのが、私の感想であった。
ところが現実には、給料計算をアウトソーシングする会社はさほど増えていない。手軽な会計ソフトが普及し、全社員の勤務実態を社外の人間に知られるリスクを冒してまで、会計事務所を頼る必要などなくなってきたのだ。
前述したアニメーターにせよ、画像作成ソフトのせいで仕事がなくなる、という見方には、懐疑的にならざるを得ない。
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