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ストが多発する国、見られない国(上)ポスト・コロナの「働き方」についてその6

Japan In-depth / 2023年4月26日 11時0分

ストが多発する国、見られない国(上)ポスト・コロナの「働き方」についてその6


林信吾(作家・ジャーナリスト)


林信吾の「西方見聞録」





【まとめ】


・イギリスで公共交通機関や教育、医療現場で「山猫スト」が多発。


・フランスでも100万人規模のデモが発生、パリは混乱。


・英仏のストライキは「働く者の権利」。


 


 ゴールデンウィーク、それも新型コロナ禍による行動規制もなくなったとあって、海外旅行を計画している人も、少なからずおられると思う。


 


 水を差すようなことはあまり言いたくないのだが、ヨーロッパ旅行の起点としてなじみ深いロンドンとパリについては、注意した方がよい。


 目下ストライキやデモが頻発しており、とりわけパリでは一部で暴動化しているからだ。公平を期すために、本当にごく一部であることは明記しておくが。


 まず英国から見て行くと、3月頃から、旅行会社や邦人向けメディアなどが「ストライキ情報」をしきりに発信するようになった。公共交通機関のストライキは旅行スケジュールを直撃するからだが、問題はこうした「情報」がしばしば役に立たないことだ。


 これは情報を発した側の落ち度ではなく、英国では労働組合の組織決定を経ることなく、支部や地域単位、鉄道の場合だと特定の路線だけで行われる「山猫スト」がむしろ一般的だからである。


 早い話が、駅まで出向いてはじめて電車が止まっていることを知った、ということにもなりかねない。


 前々からある問題なのだが、今年に入って特に顕著になったのは、新型コロナ禍とロシアによるウクライナ侵攻により、物価が急激に高騰して生活が苦しくなっているのに、それに見合うだけの賃上げがなされていないからだとされている。


 公共交通機関ばかりではなく、教員や医療関係者までがストライキを構え、多くの学校が休校になるなど、観光客のみならず市民生活に与える影響もきわめて大きい。


 彼らの場合は、新型コロナ禍に立ち向かうべく、過酷な労働環境に耐えてきたにもかかわらず、それに見合う報酬(具体的には賃上げ)が得られていない、といった大義名分があるので、むしろ同情的な市民も少なくないと言われている。


 例によって余談にわたるが、山猫ストという言葉自体、今の日本では死語となっているのではないだろうか。ストライキ自体、ニュースを聞かなくなって久しいので。


wildcat strikeの和訳で、語源については「諸説あり」なのだが、広く信じられているのは、1930年代、大恐慌下の米国で言い出された、というものだ。


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