生成AIの出現をテクノロジーの進化、インターネットの進化の中で考える
Japan In-depth / 2023年5月4日 18時0分
小寺昇二(株式会社ターンアラウンド研究所 共同代表 主席研究員)
小寺昇二の「人財育成+経営改革」
【まとめ】
・生成AI出現は、インターネットの新たな『イノベーションの飛躍』の時代の始まりを予感させるもの。
・企業が生成AIの担い手となりうる実感を伴った共通認識を持ち出した。
・社会課題の解決や、豊かな社会の構築など、高い視点で生成AIの歴史的、社会的な意味を考えるべき。
Chat GPTに代表される「生成AI」の出現は、その使い勝手の良さと、従来の常識を圧倒的に超えたアウトプットの質の高さによって、今やお茶の間の話題にすらなっています。
そもそもAIについては、「今後人間は急速にAIに仕事を奪われていくだろう」といった悲観的な意見や、逆に「AIのお蔭で、人間は今後今のようにアクセク働かなくても良い時代になるかもしれない」といった楽観的な観測も広がっており、そうした議論がさらに増えるものと思われます。
本稿では、「生成AIの出現」あるいは、「(一般の人が活用できる内容での)AIの出現」について、
・戦後進歩してきた「情報化の時代」あるいは「テクノロジーの発展」に拍車をかけた「インターネットの進歩の歴史」の中で、どう位置づけられるか
を考察してみました。
そもそも1970年代に軍事目的で発明されたインターネットについては、商用目的として開放された80年代以降、サービス=ビジネスの進歩と共に発展してきた歴史があります。
▲図(筆者作成)
例えば、Google検索というサービスは、通信速度の飛躍的なスピードアップというハード面での進歩がなければ使えるものにはならなかったでしょうし、同時にGoogleが検索技術、検索履歴を活用したソフト開発を行って広告ビジネスを展開していなければ、Googleが売上、利益を出し、さらに永続的に検索エンジンを改良し続けるということもなかったというわけです。
このように、ハード、ソフトの進歩とサービス=ビジネスの発達が一体となり、相互に影響を与えながら進んでいったことがインターネットの発展の特徴と言えるのです。
こうしたインターネットの発展というものは、ほんの60年足らずの間に本当にいくつものエポックメイキングとなる発明が起こっているのですが、とりわけ象徴的と筆者が考えているのは、
1.PCの発明、普及
2.iPhoneの発明、普及
の2点ではないかと考えています。
PCについては、コンピューターという「高級な」デバイスが個人の使用への道を開いたという意味で極めて画期的、特にマウスを使ってウインドウをクリックするといった使い勝手の良いアップルコンピュータ―と、WindowsというOSやofficeの標準化によって、劇的にオフィースワークの効率化を進めたマイクロソフトはインターネットの活用、進歩に多大な貢献をしたと筆者は考えています。
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