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祝日と休日 正しい(?)休暇の過ごし方 その2

Japan In-depth / 2023年5月6日 11時0分

サダム・フセイン統治下のイラクでは「偉大な指導者」の誕生日を大々的に祝っていたが、祝日にまではならず、あくまで人民が自主的に盛り上がっている、ということになっていたようだ。まあ北朝鮮でもタテマエとしてはそうなのだが。





また、イスラム圏ではクリスマスなど見向きもされないのかと思いきや、意外にそうでもなく、クリスマスを祝う習慣が結構根付いている国もある。





典型的な例がエジプトで、総人口の90%近くをスンニ派ムスリムが占めているが、コプト正教会に属するキリスト教徒も8ないし10%ほどいるとされ、1%ほどに過ぎないシーア派ムスリムより、はるかに多い。





かつてはイスラム原理主義者からテロの標的にされるなど、受難の歴史もあったが、最近ではサウジアラビアにおいて信仰の自由が認められようとしている。





預言者ムハンマドは、メッカの周囲に二つの宗教(つまりイスラム以外の信仰)が存在することを認めておらず、1990年の湾岸戦争に際して、サウジアラビア政府が「キリスト教の武装勢力=米軍」の駐留を認めたことが、あのオサマ・ビンラディンらを過激なイスラム原理主義に傾斜させる原因となった事実は、よく知られる通りだ。





しかし「メッカの周囲」の具体的な範囲については定説がなく、一方ではエジプトやフィリピンからやってくる出稼ぎ労働者の中に、キリスト教徒が相当数含まれているという事情もあって、国際的オツキアイの観点から、信仰を容認する方向に舵をきったものらしい。 





具体的には、長きにわたって、





「祈ってもよい。ただし、それを公言してはならない」





などと命じられていたものが、エジプトから聖職者が来て、説法や祝福を行うことを認めるようになってきたのだとか。





ちなみにコプト正教会でもクリスマスは1月7日だが、エジプトやサウジアラビアを含む多くの国では、イスラム暦と太陽暦を併用している。





これもやはり、国際的オツキアイの観点からだろう。





人間も国家も、多様な価値観を認めることなくして、自ら生きる道もない。そういう時代になってきているのだ。





 





【筆者より】





今回も、後半のイッスラム諸国における休日・祝日事情については、かつて外交官としてかの地で活躍してきた、京都大学の若林啓史博士の著作を参考にさせていただき、かつ示唆に富むお話を聞かせていただきました。





その若林啓史博士が、NHKラジオ2の『宗教の時間』で、この問題を語ります。





前半)6月25日 8時30分~9時(再放送)7月2日18時30分~19時

後半)7月2日 8時30分~9時 (再放送)7月9日18時30分~19時





朝日カルチャーセンター新宿教室での講義(「中東問題を観る眼」・「外交官経験者が語る中東の暮らしと文化」)も継続中です。※教室とリモート併用





録画であれば日本全国別な日にも視聴可能。また途中からでも参加できます。関心のある方は検索してみて下さい。





トップ写真:労働節の観光地の様子(中国・武漢、2023年4月30日)出典:Getty Images / ストリンガー




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