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SHEIN旋風 仏で議論

Japan In-depth / 2023年5月10日 23時0分

2018年にはフランスで売られた婦人用既製服のうち10%以上がカマイユ製の服だったほどである。しかし、コロナの影響もあり店舗にやってくる客が2019年から2022年にかけて15%減少した。その結果、店舗を大量に所有していたカマイユは売り上げも落ち、店舗の利用料を払うことも難しくなり倒産においやられたのである。そして、同時期、他のフランスの歴史ある店も同様な道筋をたどった。





しかしながら、経営がうまくいかなかった原因は、ネット販売への切り替えがうまくいかなかっただけではない。世界中から情報が発信され、それをネットで見ながら視野を広げ、狭いコミュニティの中だけにいた昔のフランス人とは感覚も大きく変わった現在のフランスの若者たちには、カマイユなどのデザインはやぼったく感じられるようになっていたのも事実だ。





その点、世界のトレンドを追っているSHEINの商品は、若者たちにとっては大変魅力的に映ったのである。





■ 乖離する若者たちの感覚と世論





パリでSHEINのポップアップストアが開催されるにあたり、SHEINの製品を買うべきではないという意見が何度も流され、「フランスでのSHEIN販売を禁止する」という署名活動がChange.orgで展開されたり、ツイッターでも、「うちの子供には、環境に悪いなどの理由でSHEINの服を買うことを禁止しています。」というツイートが人気を博していた。





しかし、店舗のオープンにはほとんど影響もせず、店内に入ることを心まちにして1時間以上列に並んでいる高校生もいたのだ。列に並んでいる彼女たちは口々に言う。「おしゃれな服が着たい」、「うちはそこまで裕福な家庭ではないので、安い服で助かる。でも、裕福な家庭でも買いに来ている人はいますよ」、「SHEINの服はすごい流行っているんです」。





このポップアップストアでは、1日最大1000人の顧客を受け入れ、連日盛況の中、月曜日の夜に閉店した。





この状況は、完全にメディアで発信される世論と、若者たちの感覚が乖離していると言えるかもしれない。





このような乖離は、かつて、日本の電化製品や漫画やアニメがフランスに入ってきた時代のことを彷彿させられる。電化製品は「日本製は安くて粗悪品」と言われ、漫画やアニメは当時、セゴレーヌ・ロワイヤル氏を筆頭に、教育ママを自任する層に大批判を受けていた。子供に悪影響をおよぼすと嫌煙されていたのだ。それが今ではどうだろう。批判にさらされていても日本の漫画やアニメを愛した子供たちが現在では大人になり、自分の子供たちと一緒に楽しみ、フランスでの日本の漫画やアニメの地位はゆるぎないものとなっていったのだ。若者が欲求するものを兼ね備えているということは、いくら世論で反対したとしても若者のその欲求を止めることはできないということなのである。





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