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日本の存在感を確かなものに~NYのジャパンパレード

Japan In-depth / 2023年5月21日 19時0分

滞在中、国務長官ルイス・カスが一行の慰労のため、滞在するワシントンのホテルでの晩餐会に現れたところ、迎えた万延使節団随員は、カス国務長官が大統領に並ぶ高官と知るや、一斉に土下座で迎え、その場にいたアメリカ人を驚かせた(参考資料4)。


珍奇にも映る行動がいちいち、マスコミによって取り上げられ、新聞紙上を賑わしたが、野蛮と想像していた「未開の国の人々」の、その立ち居振る舞い、礼儀正しさ、身なりの美しさは話題となり尊敬を受け、最後の訪問地、ニューヨークに一行が到着する頃には、メディアの論調は、次第に日本を賞賛するものへと変化してきていたという。(参考資料5)


ニューヨーク入りした一行は、ワシントンで受けた歓迎以上の大歓迎を受け、6月16日、帯刀して正装の侍たちが行進する「サムライ・パレード」がブロードウェイで行われた(以降、ニューヨークもっとも高い格式のパレードは、ブロードウェイ南端から市庁舎へ向かうものとされ、現在はティッカー・テープ・パレードとして開催の権限は市長に与えられている)。


パレードは、ビルの窓から身を乗り出して見物する人も現れるなど、大いに注目を集め、沿道は50万人の人々で溢れたという。当時の写真には窓から掲げた日の丸が見受けられる。(参考資料6)


歓迎パレードの終点では5,000名もの州兵が出迎え、宿泊先のホテルまで護衛した。ホテルでは300枚もの日米の国旗が窓に飾られた。(参考資料7)


ニューヨークと言えども、今とくれべれば、娯楽がさほどなかった時代、ニューヨーク市全体は、日本一色になった。ホテルでの歓迎大舞踏会には7,500人もの参加希望者があり、前売り券は高額取引された。もてなしにニューヨーク市は成り行き上の勢い、とも言っていい多額の出費をし、その後の精算で予算を遥かにオーバー、と突き上げを食らっている。(参考資料8)


それから162年。


以後、ニューヨークで日本のパレードが開催されることはなかった。


ニューヨークで各民族が自国のパレードを毎年のように開催する中、パレード企画の意図はあっても、戦争や経済摩擦などを挟んで、アメリカの国民的な心情を察した、日本的な忖度でニューヨークでの日本パレードの開催は長年見送られ続けて来たとも言う。


個人的な感想になるが、長年、ニューヨークにいるものとしては、今まで日本のパレードがなかったのがやや寂しい思いであった分、先日のパレードは、やっと、自分たちが地元に溶け込めたかのような興奮があった。


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