駐日ウクライナ大使、戦争終結後の復興で日本に期待
Japan In-depth / 2023年5月26日 15時0分
日本の周囲に目を向ければ、中国は南シナ海における軍事プレゼンスを強化してきた。スプラトリー(南沙)諸島の岩礁や暗礁を埋め立てて人口島を造成し、一部は軍事基地化した。
同諸島に加え、パラセル(西沙)諸島などでも中国は既成事実を重ねることで領土拡大を図り、ベトナム、フィリピン、マレーシアと領有権を巡って争っている。
大使は「チャイナ・モデル以外にも選択肢があることを他のアジア諸国に示すべきだ」と述べた上で、アジアで求められる日本の役割について「ソフト・スーパーパワーを目指すべき」とした。
中国は軍事力に依拠する形で南シナ海の支配権を無理やり強めてきた。それに対し、ソフトパワーは軍事力や経済力に頼ることなく「その国が有する文化や政治的価値観、政策の魅力などにより自分の望むことを相手にも望んでもらうようにする力」を目指さなくてはならない。
ソフトパワーの行使にはアジア諸国の支持、理解と共感を得ることが前提条件となる。一方で、ハードパワーに頼る中国は軍事力、経済力を使ってアジアにおけるプレゼンスを強め、東南アジアなどで日本は押され気味だ。
大使が言う「ソフト・スーパーパワー」を目指すには、より積極的に外交政策などの面で発信することが求められる。
広島G7サミットにゼレンスキー大統領を招き、一致団結し国際秩序を守り抜く姿勢を見せたことは、リーダーシップを発揮できる日本としての新たな魅力として諸外国には映っただろう。民主主義という普遍的価値観に加え、被爆地である広島から「核兵器のない世界」の実現に向けた取り組みへの日本の強い決意をこれまで以上に内外に示すこともできた。これもある意味、日本のソフトパワーの活用の成功例と言えないだろうか?
多くの人がゼレンスキー大統領と岸田首相が並んで平和記念資料館を訪れた後、原爆死没者慰霊碑に献花する姿に心を打たれた。「スーパー」がつくかは今後の努力次第だが、普段は恒例の首脳陣の記念撮影と共同文書の発表だけに終わるG7サミットを最高のエンターテイメントに仕立て上げた日本政府はアニメ、漫画だけでない日本のソフトパワーの奥行きの深さを如実に全世界に見せつけた。
会見でコルスンスキー大使はウクライナが学ぶべき日本人の特質として「団結力の強さ」を挙げた。大使はロシアによるウクライナ侵攻後は「大統領の元まとまっている」としながらも「その前は酷かった。ゼレンスキー大統領は2019年の大統領選で当選した時は73%を超える人気を誇っていたのに、人々は翌日から大統領批判を始めた。指導者を一度は信頼し、まずは何かをやらせてみようという姿勢に欠ける」と述べ、ロシアとの戦いの後の復興を成功させるには、第二次世界大戦後の復興を成功させた日本に倣い、「指導者と国民が団結する」ことが不可欠とした。
トップ写真:ゼレンスキー大統領が参加した広島G7サミットを振り返るセルギー・コルスンスキー駐日ウクライナ大使、後方の肖像写真はウクライナ出身のコサック騎兵将校を父に持つ昭和の大横綱・大鵬(2023年5月25日)筆者撮影
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