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「採用すれど購入せず」護衛艦と国産対空ミサイル

Japan In-depth / 2023年5月28日 21時30分

「採用すれど購入せず」護衛艦と国産対空ミサイル


文谷数重(軍事専門誌ライター)





【まとめ】


・海自は新型フリゲート整備の検討を進めている。


・新型艦は国産対空ミサイルをまずは搭載しない。


・米国製と比較すると難点が目立つからだ。


 


 海自は新型フリゲート整備の検討を進めている。現在の「もがみ」級の後継となる護衛艦であり、2024年度予算での建造着手が予定されている。


 そこでは「国産の対空ミサイルを搭載するのではないか」との観測がある。防衛省が艦対空誘導弾として開発した新型ミサイルを搭載するといった内容である。


 はたして新型艦は国産ミサイルを搭載するのだろうか?


 まずは搭載しない。あるいは開発側への義理立てから採用するかもしれない。ただ、その場合でも極少数購入であり搭載はまずはしない。採用しても購入せずの形で落着となるだろう。


 


■ 海上戦闘に最適化していない


 なぜ新型フリゲートは国産対空ミサイルを搭載しないのか?


 その理由は簡単である。


 海自は国産対空ミサイルを望まないためである。米国製と比較すると難点が目立つ。具体的には海上戦闘への最適化、軍艦への搭載対応、将来改修の三つである。


 それからすれば対空ミサイルは米国製を搭載する。すでに購入を始めたSM-6や入手目処が見えてきたESSMブロック2である。



写真)SM-6を発射するアーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦 USS ジョン・ポール・ジョーンズ (DDG 53) 2014 年 6 月 19 日 


SM-6による対艦攻撃は中国軍艦への切り札とされる。長射程と高速性能を生かした先制攻撃が可能だからである。


出典)Stocktrek Images/DGettyImages


 第一に国産ミサイルは海上戦闘に最適化されていない。


 まずは超低空迎撃に不安を抱えている。


 軍艦用の対空ミサイルは海面ギリギリの目標を撃ち落とす必要がある。海面高度3m、最新型では1mの高さで飛んでくる対艦ミサイル。しかも直径30cmと小型の目標を迎撃できなければならない。


 これは国産対空ミサイルには厳しい。原型は陸上防空用の03式中距離地対空誘導弾である。性質からすれば最低迎撃高度はまずは30m程度を目処としている。米国の海軍向けミサイルのように最初から5m以下の目標迎撃に力を注いではいない。その信管も米国製のように高度6mで確実に動作するかは怪しい。



写真)陸上自衛隊の「03式中距離地対空誘導弾」新型フリゲートには改良型を搭載するとの観測がある。


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