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「採用すれど購入せず」護衛艦と国産対空ミサイル

Japan In-depth / 2023年5月28日 21時30分

出典)陸自公式FLICKERアカウント JGSDFより。


 また共同交戦や弾道弾迎撃の見込みもない。米国製のように近傍の味方艦や味方機が発見捕捉した目標に自艦の対空ミサイルを発射する機能はない。自分たちに向けて飛んでくる弾道ミサイルの迎撃もできない。


 さらには艦船攻撃機能への配慮も欠ける。


 軍艦の対空ミサイルは艦船攻撃にも利用する。


 だが国産ミサイルに能力付与した話は聞かない。少なくともその機能を重視はしていない。


 それからすれば視程内はともかく水平線以遠の攻撃は難しい。水平線超えの攻撃能力をもつ米国製のSM-6と較べると見劣りするのである。



写真)NSM(Naval Strike Missile)最新のNSM対艦ミサイルは高度1mの飛翔により海面乱反射や干渉縞効果、全反射による逃げ水現象やマルチパスを利用する。


出典)Photo by Ben Pruchnie/Getty Images


 


■ 軍艦への搭載対応


 第二は軍艦搭載に最適化していない点である。


 国産ミサイルは海自が主要とするMk41発射器との相性があまり良くない。その竪坑式発射器は53cm四方に作っている。対して国産ミサイルの直径が32センチと中途半端であり容積の無駄が大きい。


 これも米国製に対する劣位となる。


 直径53cmのSM-6と較べるとどうしても不利となる。容積不足から射程や威力、さらには誘導機構の容積で優位に立てない。


 直径25cmのESSMブロック2には装填数で負ける。国産ミサイルよりも小径だが、それゆえに発射機の竪穴一つに4発を搭載できる。同じ坑数でもミサイル数で4倍の差がつくのである。


 


■ 将来改修を期待できない


 第三は将来の改修を期待できない。


 国産ミサイルは作って作りっぱなしとなる。時代の変化で性能不足となっても既存のミサイルの改修はしない。これは国産兵器に共通する対応である。


 もし改修してしまうと防衛省開発部門や兵器産業は困る。長く使えるようになってしまう。それでは新型ミサイルの開発製造ができない。


 対して米国製ミサイルは適宜の改修がなされる。米国は30年前に登場したミサイルでも改良を施す。場合によれば最新型状態に更新できる改修キットも登場する。


 この点でも国産対空ミサイルは不利なのである。


 


■ 採用すれど購入せず


 海自は国産ミサイルを買わない。そう判断できる。


 20年前の前例もある。当時も海自は同様の問題を抱える国産対空ミサイルを蹴り米国製のESSMミサイル、今回挙げたブロック2の前のタイプを採用している。


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