中国軍の日本奇襲作戦
Japan In-depth / 2023年5月29日 7時0分
古森義久(ジャーナリスト/麗澤大学特別教授)
「古森義久の内外透視」
【まとめ】
・米の議会、メディア、国民は、中国を自国を脅かす敵性の存在とみなしている。
・米中両国の戦闘となれば、国家存亡の影響は不可避となる。
・専門家は、「人民解放軍が台湾攻撃に踏みきる場合、日本国内の米軍基地や自衛隊基地にまず奇襲攻撃をかける」と。
アメリカの首都ワシントンで取材を重ねれば重ねるほど、いまのアメリカ官民の中国に対する態度の強固さを実感させられる。アメリカの政府も、議会も、メディアも、さらに一般国民も中国の共産党政権をもはや自国の基幹を脅かす敵性の存在とみなしているのだ。その対中姿勢の険悪化はワシントンでは米中新冷戦という用語をも生んでしまった。
そんな米中両国の対立の激化でもっとも深刻に懸念されるのは、やはり両国の軍事衝突の危険性である。中国の至近距離に位置して、自国領土への侵犯という目前の軍事脅威に直面する日本にとっては、米中両国の戦闘となれば、国家存亡の影響は不可避となる。
米中両国の軍事衝突の可能性としては、やはり台湾の武力制圧という選択肢を公言し、日本の尖閣諸島には継続して武装艦艇を侵入させる中国側がその端緒を切る見通しが強い。では万が一のそうした最悪事態では、中国側の実際の軍事行動はどんな形となるのか。
その種の中国側の軍事戦略についてアメリカ側の中国軍事研究の権威、トシ・ヨシハラ氏にインタビューして、見解を尋ねた。日系米人学者としてアメリカの海軍大学校で長年、教授を務め、現在はワシントンの大手研究機関の戦略予算評価センター(CSBA)の上級研究員を務めるヨシハラ氏は中国の軍事や戦略の研究では異色の手法で定評がある。
国防情報局(DIA)のようなアメリカ情報機関の取得した中国軍事情報の分析に加えて、中国人民解放軍やその関連機関の内部の文書や論文類の読破により研究を深化させるというのだ。その基盤には台湾で育ったヨシハラ氏が中国語をネーティブのように身につけたという強みがある。
▲写真 戦略予算評価センター(CSBA)上級研究員トシ・ヨシハラ氏(筆者提供)
ヨシハラ氏は人民解放軍が台湾攻撃に踏みきる場合、日本国内の米軍基地や自衛隊基地にまず奇襲攻撃をかける戦略を有力な選択肢として徹底研究している、と指摘した。日本にとっては衝撃的な分析である。そのヨシハラ氏とのワシントンでの一問一答の骨子を紹介しよう。
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