外交イベントは休暇に非ず 正しい(?)休暇の過ごし方 最終回
Japan In-depth / 2023年6月1日 7時0分
対するウクライナ側も、このところ「反転攻勢」をしきりに呼号している。
実は前述のロシア人女性には、戦争勃発=ロシアによる侵攻開始からちょうど一年ほど経った2月末にも話を訊かせてもらったのだが、
「もはや全部追い出すまでやめないでしょうね」
ということのようであった。占領地域および親ロシア派が実効支配している地域において、ロシアの軍事的プレゼンスを駆逐するまで、停戦交渉は始まらないだろう、という見方が、内外のロシア人やウクライナ人の間ですら、支配的になりつつあるようだ。
さらには、これまで侵攻の急先鋒をつとめてきた民間軍事会社ワグネルや、ロシア人の武装組織が相次いでプーチン政権との対立を深め、旧ソ連邦諸国にあっても「脱ロシア」の動きが広がりつつある、という報道も見受けられるようになった。
ウクライナ軍にとっては「勝利は目前」「あと一撃」という感覚なのであろう。
だからこそG7サミットにおいては、ゼレンスキー大統領に対して、むしろ冷静な対応を求めるべきではなかったか。
ここで思い出されるのが、日露戦争における講和交渉で、当時の日本軍は日露両国の潜在戦争能力の差というものをよく知っており、一日も早い交渉開始を望んでいた。しかし、「ロシア憎し」にこり固まった在野の学者らは、得るものが少ない講和など無意味だとした。
「ロシア帝国領の、バイカル湖から東を全部取ってしまえ」
と主張した人までいる。
今次のウクライナに対しても、NATO諸国は射程距離の長い巡航ミサイルの供与を増やし、モスクワ攻撃も可能になる、などと煽る向きさえあるが、プーチンが核のボタンに手をかけるリスクをわざわざ高める、という感覚が私には理解できない。
核兵器の問題にせよ、G7サミットにおける共同宣言中で、広島への原爆投下にはまったく触れられず、単に首脳たちが一列に並んで慰霊碑に献花したに過ぎなかった。
このようなパフォーマンスと、ゼレンスキー大統領の、
「ウクライナはヒロシマのように復興するであろう」
という発言を取り上げて、岸田首相を礼賛する向きもある。私などは、
「修学旅行か!」
などと、思わずツッコミを入れてしまったものだが。
総じて、今次のG7サミットは、岸田首相の出身地であり選挙区でもある広島に誘致した、という以上の「功績」は見られない。これはなにも、岸田首相を礼賛する人たちへの当てこすりではなく、単に私は、権力者に常に厳しい目を向けることこそジャーナリズムの使命であると考えているだけだ。
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