コロナフレイル② 運動、栄養、社会参加の重要性
Japan In-depth / 2023年6月7日 11時0分
渋川智明(東北公益文科大学名誉教授)
渋川智明の「タイブレーク社会を生きる」
【まとめ】
・身近なことから始め、継続することがフレイルの予防につながる。
・コロナ禍を経て要介護の件数が増加、対策は急務。
・フレイルサポーターの養成始まる、自治体や産業界との協力も。
■ フレイル予防策を具体的に定言
コロナフレイルは英語のFrailty(虚弱)をもとにした言葉、フレイルから派生したいわば造語だが、コロナウイルスのパンデミックにより、日常生活の不活発化を引き金として起こるフレイル状態を意味する。
フレイル問題研究の第一人者である東京大学高齢社会総合研究機構 機構長、未来ビジョン研究センター 教授の飯島勝矢さん(ジェロントロジー:総合老年学)は、健康長寿(フレイル予防)のための「三本柱」(運動、栄養、社会活動)を組み合わせた三位一体の活用方法を具体的に提言している。
▲図 「三位一体」の重要性 出典:「柏フレイル予防プロジェクト2025」柏スタディから見えてきたもの
この三本柱は、これまでにも介護予防対策などで強調されているが、飯島教授は福祉フォーラム・ジャパンが開いたオンライン講演会で、アプローチの手順、活用の仕方やそれぞれの内容の組み合わせ方、効果などを提示している。
またフレイルやサルコペニア(筋肉減弱)、社会的孤立の危険度について、三本柱の実施状況や組み合わせで、リスクがどのように変化するのか、リスク倍数を表している。
3つとも実施されていればいいが、なかなか難しいのが現状だろう。
飯島教授の講演内容から、素人なりに、私の解釈で、おおざっぱではあるが、重要な点をまとめてみた。
<まず運動習慣があげられるが、日常的な運動習慣のある人はざっと3割ほどだという。やる人は言われなくても続けている。要は本格的なスポーツや、毎日、何歩歩いたか、を厳密にこだわるだけでなく、適度なウオーキングやランニング、それだけでなく、通勤の行き帰り、また日常生活の家事労働、庭仕事なども運動に入る。加えてオーラルフレイルを防止し滑舌を良くすることも大切だ。
バランスの取れた栄養はもちろんだが、とくに家族内での孤食は孤立感が良くない。特定の栄養配分やカロリー計算で、身長、体重比などからメタボに対する過度な注意より、サルコペニア(筋肉減弱症)は要警戒。リスクを減らす運動を組み合わせる。
社会活動(参加)は、大げさに構えることなく趣味などを通じた幅広い文化活動、ボランティア、コミュニティへ活動への参加、人とのコミュニケーションなどが含まれる。リラックスして、長く続けることが重要だ>
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